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記事2013年1月13日 2260号 (1面) 
日本経済再生に向けた 緊急経済対策を決定
学校施設等 耐震化・老朽化対策実施
文科省 25年度概算要求一部見直し

 政府は一月十一日、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」を閣議決定した。@復興・防災対策A成長による富の創出B暮らしの安心・地域活性化C潜在力の発揮を可能とする規制改革D為替市場の安定に資する施策――を柱とした内容で、文部科学省関係では学校施設の耐震化・老朽化対策等の防災対策の推進、研究開発、イノベーション推進、小中高校等の施設設備整備等、安心して教育を受けられる体制の整備などが盛り込まれた。

 今回の緊急経済対策の規模は、国の財政支出で約十・三兆円、事業規模では約二十・二兆円にも上るもので、安倍総理自身、「リーマンショック時の臨時、異例な対応を除けば、史上最大規模となる」と語った。政府の平成二十四年度補正予算全体では、年金国庫負担の二分の一の実現等約二・八兆円を加えて約十三・一兆円となる見通しだ。補正予算案の詳細は近く明らかにされる予定だが、「復興・防災対策」に約三・八兆円、「成長による富の創出」に約三・一兆円、「暮らしの安心・地域活性化」に約三・一兆円、「公共事業等の国庫債務負担行為」に約〇・三兆円が充てられる予定。このうち「復興・防災対策」では「事前防災・減災等」に約二・二兆円が充てられる予定で、国立大学・公立学校・私立学校施設等の耐震化、老朽化対策が含まれることになる。
 また、「成長による富の創出」では、イノベーション基盤の強化策として、大学等による、研究開発成果の事業化及びこれを目的とした投資を行う子会社の設立、大学発ベンチャー支援ファンド等への出資を可能とする制度改正の検討などを行う。さらに人材育成・雇用対策では小学校から大学までの教育研究基盤の整備、スポーツ競技力向上に向けた環境整備、祖父母からの教育資金の一括贈与について、贈与税を非課税とする措置の創設(税制)等を行う。「暮らしの安心・地域活性化」では、スクールカウンセラー等の派遣、道徳教育の充実、保育士の人材確保等子育て支援の充実(厚生労働省)等を行うことにしている。
 一方、同日、各府省の平成二十五年度概算要求の見直しも締め切られ、一月末にも来年度政府予算案が決まる見通しだ。
 このうち文部科学省は平成二十五年度概算要求の見直しの概要を公表しているが、それによると、「成長による富の創出」では、義務教育費国庫負担金に関して直近のデータに基づいて見直した結果として同負担金を九月の概算要求に比べ(以下同様に)六億円減の一兆五千六百二十三億円の要求としている。また、全国学力・学習状況調査に関しては、二十六年度調査から悉皆方式の調査に改めるため、三億円増の十四億円を要求。
 さらに、新規事業として「新たな教育改革に向けた調査研究等」として三億円を要求している。これは学校制度やその運用改善等に関する調査研究、高校生の学習到達度把握のための調査の仕組み(目標とすべき水準、実施方法等)等について検討委員会を設置する、小中一貫教育校による多様な教育システムの調査研究などを行うもの。
 「暮らしの安心・地域活性化」では、公立高校の授業料無償制及び高校等就学支援金に関しては、朝鮮学校に係る経費の削減、高校生の修学支援の在り方についての総合的な検討、具体的には平成二十六年度からの所得制限の在り方を含めた高校生の修学支援方策について総合的に検討する。そのため予算要求額は二億円減の三千九百五十億円。また、幼稚園就園奨励費補助に関して第四階層の補助単価を六千二百円から一万二千四百に引き上げ、幼児教育の無償化について関係府省と連携し、財源、国と地方の役割分担等を踏まえた検討を行う。予算要求額は十一億円増の二百五十二億円。
 私立高等学校等経常費助成費等補助に関しては、単価の増額、いじめ問題対応を含め教育相談体制の整備、教育の国際化への取り組み、私立幼稚園への支援等を充実する。そのため九億円増の千三十九億円の要求。そのほか文化遺産を活用した地域活性化事業の創設(三十四億円)等も要求している。


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