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記事2012年9月23日 2250号 (1面) 
教員養成の修士レベル化へ 実践的研究積み上げへ
文科省平成25年度予算概算要求
教員の資質能力向上関連事業に 総額5.6億円要求
 文部科学省がこのほど財務省に提出した「平成二十五年度予算概算要求」には教員関連事業が数多く盛り込まれている。その一つが、「教員の資質能力向上に係る先導的取り組み支援事業」(要求額一億五百万円、新規)、また、「日本人若手英語教員米国派遣事業」(要求額二億四千百万円)などで、教員の資質能力向上関連事業は総額で前年度比一二・〇%増の五億六千万円となっている。

大学院修了者の採用選考の在り方
初任研の単位化などの研究支援

 このうち、「教員の資質能力向上に係る先導的取り組み支援事業」は、八月二十八日の中央教育審議会答申「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について」が提言した教員養成の修士レベル化に向けて、現在、必ずしも円滑な連携とはなっていない、教育委員会と大学等の両者が連携・協働した教員養成システムの構築や初任者研修等の研修の体系化・高度化、大学院修了者や理工系、社会人経験者といった多様な人材の登用など、複数の都道府県等での先導的な取り組みを、地域の特徴や教員の構成等を踏まえて支援するもの。
 具体的には、@実践的な教員養成システムの構築・試行、A修士レベル化に向けた大学院修了者の採用選考の在り方に関する調査研究、B理工系、社会人経験者、障害者など多様な人材の登用の在り方に関する調査研究、C初任者研修の単位化・高度化に向けた検討・試行、D管理職養成カリキュラムの共同開発・試行などの実践的な研究を支援していく。
 こうした実践事例を積み上げた上で、文部科学省では教員の資質能力向上策を定めていく予定。
 また、「日本人若手英語教員米国派遣事業」は、文科省要求分二億四千百万円と外務省要求分一億六千万円を合わせて、政府全体で四億百万円の要求額。前年度と比べ三百万円の減額。
 任命権者から推薦された、原則二十代から三十代の若手英語教員百人を、平成二十五年七月末から半年間、米国に派遣する計画。英語教員の資質向上や、日米交流を通じた日米同盟の深化等が事業の目的。
 そのほか、「大学における教員の現職教育への支援」を行う計画。予算要求額は八千四百万円。前年度比九百万円の減額。
 山間地や離島などの僻地学校の教員、少数教科・科目を担当する教員、障害のある教員に係る講習や、学校現場と連携・協働した実践的講習を開設する大学に補助する。
 併せてこれまでの教員講習の成果と課題を踏まえて、今後更なる教員の資質能力向上に資する講習の在り方について調査研究事業を行うことにしている。
 さらに「発達障害に関する教職員の専門性向上事業」(予算要求額一億六百万円、新規)も要求している。
 小・中学校の通常学級に在籍する、特別な教育支援を必要とする児童生徒(一学級に六%程度在籍)に関して、発達障害理解推進拠点事業を十八校・地域で行う。
 具体的には、発達障害に関する教員向け校内研修の実施、教員・保護者・地域等を対象にした成果普及のためのセミナーなどを行う。
 また、学校現場で発達障害に関する専門的・実践的な知識を有する教職員を育成するため、大学・大学院研究科で教員養成段階や中核的な現職教員に対する育成プログラム開発を行う。六大学にプログラム開発を委嘱する予定。


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