文部科学省は九月七日、平成二十五年度予算概算要求を公表した。それによると同省の要求額は約六兆四百五十五億円で対前年度比七・二％の増額。「少人数学級の推進をはじめ社会経済のイノベーションを進める人材の育成」「安心して教育を受けることができる『学びのセーフティーネット』の構築」「社会の変革のエンジンとなる大学改革の推進等」のほか、「『日本再生戦略』を踏まえたグリーン・ライフ分野への取り組み」「スポーツに関する施策を、国家戦略として総合的・計画的に推進」などを柱としている。

　このうち私立学校関係の主な要求を見ると―。
　【私立大学等】「私立大学等経常費補助」は約三千三百四十五億四千万円、前年度比二・五二％の増額要求。内訳は一般補助が約二千八百七十五億円、特別補助が約四百七十一億円。その中では大学教育の質的転換や、特色を発揮して地域の発展を重層的に支える大学づくり、産業界や国内外の大学等と連携した教育研究など、私立大学等が組織的・体系的に取り組む大学改革の基盤充実のため、経常費のほか、施設費・設備費を加え一体として重点的に支援する「私立大学等改革総合支援事業」を創設することにしており、同事業の要求額は、経常費補助分約百二十五億円に施設費等を加えて総額約二百億円に上る。
　「私立大学等の教育研究装置・施設の整備費に対する補助｣は､前年度の二倍強（一一六･六%増)の約百八十五億二千五百万円の要求。その中では私立大学等改革総合支援事業として実施する教育研究施設・教育研究装置三十億円が新規要求されており、そのほか、私立大学等の学校施設耐震改修事業や防災機能強化事業が前年度に比べ大幅増額要求となっている。また、専修学校の学校施設耐震改修事業も二倍増近い要求。専修学校に関しては新たに防災機能強化事業、バリアフリー推進事業、エコキャンパス推進事業も盛り込まれた。
　「私立大学等の研究設備等の整備費に対する補助」は約二十二億七千九百万円の要求。前年度比二五・五％の減額。
　「私立大学等教育研究活性化設備事業」は四十五億円の要求。前年度比四三・〇％の増額要求。これは私立大学等改革総合支援事業の一環。
　「大学等奨学金事業の充実と健全性確保」は、前年度比二・四％増の約一千三百十七億円の要求。このうち平成二十四年度から始めた「所得連動返済型の無利子奨学金制度」（＝奨学金の貸与を受けた本人が、卒業後に一定の収入を得るまでの間は返還期限を猶予する制度）に関しては、これまでの新規貸与者のみから在学生も加えた制度とする。
　このほか「国立大学・私立大学の授業料減免等の充実」のために約四百三十五億円を要求している。このうち私立大学の授業料減免等の充実分は約百二十六億円。減免対象者は約六万二千人。