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記事2012年8月13日 2247号 (1面) 
文科省の来年度概算要求に向け 私学関係予算の拡充を
私学団体が与党、文科省に要請
私学予算は厳しい環境 政局も絡み、先行き不透明
民主党私学振興推進議連に要請
文部科学省の平成二十五年度概算要求提出を前に、私学団体では文部科学大臣、与党・民主党の政策調査会文部科学部門会議、同党の私学振興推進議員連盟等に相次いで来年度私学関係予算の拡充等を要請している。低迷するわが国経済が持続的に発展するためには、多様な価値観を持つ活力あふれる多様な人材の育成が不可欠などとして、私学関係予算の拡充等を要請している。九月七日の来年度概算要求締め切り以降、年末まで予算案編成作業が続けられる見通しだが、野党は衆議院解散を強く求めており、平成二十五年度政府予算編成の先行きは今後さらに不透明感を増しそうだ。

 八月二日、民主党政策調査会文部科学部門会議(鈴木寛座長=参議院議員)は関係七団体から来年度概算要求に関する要望の聴取を行った。八月二十四日には高等教育関係団体等からも聴取する予定。冒頭、鈴木座長は、「既存の予算に関しては与野党とも抑制を求めるなど(教育関係予算にとって)大変厳しい状況だが、概算要求を乗り越えていきたい」と、また、文部科学省の高井美穂副大臣は「皆さんの要望に応えられるよう、いい予算を組んでいきたい」とあいさつした。その後、私学関係では日本私立中学高等学校連合会の吉田晋会長が日本私立小学校連合会の要望と合わせて、全日本私立幼稚園連合会に関しては北條泰雅副会長が要望内容を説明した。
 この中で吉田会長は、わが国が、少子高齢化、社会産業構造の変動、東日本大震災・原発事故といった危機的な状況に立ち向かうためには、長期的視野に立った優れた人材の育成が不可欠とし、このうち、@私立高等学校等経常費助成費等補助に関しては、都道府県の私学助成の財源の柱であるためさらなる拡充強化を、また、同補助特別補助分では教員の資質向上、生徒の海外研修や留学に対する補助増額等を要請。A耐震化に関しては、公立学校は平成二十七年度までに施設の耐震化達成を目指しているのに対して、私立学校にとって校舎等の耐震化は財政的に大きな負担で、平成二十三年度現在、公立高校の耐震化率が七八%なのに対して、私立高校は七一%にとどまっていることを説明、学校施設の耐震化は、設置者、学校種、改修か改築かの耐震工事の方法を問わず、補助内容を国公立学校と同水準とするよう要望した。
 そのほか私立高校での電子黒板の整備率が公立の七分の一程度にとどまっていることなどを指摘して、教員の校務用情報機器等も含めてICT環境整備の充実、高校等就学支援金の実質的必要性の観点からの見直し、原発事故が依然収束していないことから、学校教育における食の安全と安心のための補助、時代を見据えて電子教科書、LED照明等導入への支援措置等を要望している。
 一方、全日本私立幼稚園連合会の北條副会長は、私立高等学校等経常費助成費補助制度(幼稚園版)の拡充、また、私立幼稚園における特別支援教育の一層の充実に向け補助金の交付要件の緩和等、幼稚園就園奨励費補助制度に関しては最も大きな割合を占める第四階層の補助単価のさらなる回復、認定こども園に関しては幼稚園型に関しても安心こども基金の対象とすること、私立幼稚園施設整備費補助制度に関しては、保育所との間で大きな格差を生じている補助率の引き上げ、個人立など学校法人以外の幼稚園に対する特別補助制度の創設などを要望した。



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