こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2012年6月23日号二ュース >> VIEW

記事2012年6月23日 2242号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
高校の「類型化」是非など議論
審議経過報告案から 類型の文言は削除される
初等中等教育分科会高等学校教育部会

 中央教育審議会初等中等教育分科会の高等学校教育部会(部会長=小川正人・放送大学教養学部教授)は、六月十八日、文部科学省内で第九回会合を開き、前回に続いて、これまでの意見整理案である「課題の整理と検討の視点案」について審議した。事務局(文部科学省)から前回の議論等を踏まえた修正箇所等が説明された後、審議が行われたが、その中では高校の「類型」が改めて議論の焦点となった。これは、高校という一律の括りで考えるのではなく、各学校が目標とする人材像に応じ今後の施策を講じることがより効果的との考え方のこと。ただし第九回で提示された案では、「類型」の文言が削除され、「各学校の目標とする育成すべき人材像に応じた施策」などと変更された。しかし審議の中では、副部会長の安彦忠彦・神奈川大学特別招聘教授が、東京都教育委員会が進めている早い段階からの枠づけ(進学重点校、エンカレッジスクールなどに生徒を振り分ける)の例を挙げて高校の進路別分化≠ヘ必ずしも適切ではないなどとし、「私学についてはあまり心配していないが、公立高校は簡単に予備校的なものに引きずられる。チェックをかける文言がほしい」と語った。また、長塚篤夫委員(順天中学校・高校長)は、「十年ほど前、都立高校が学校ごとに類型化、ラベリング化した。そうしたラベリングの成果や問題点を踏まえて、十年先のことを検討すべきだ」と語り、また、川嶋太津夫委員(神戸大学大学教育推進機構教授)は、「類型は学校を選べる都会の話、地方では選択肢はあまりない」、アキレス美智子委員(株式会社資生堂執行役員)は、「グローバルな市場で活躍する人材が類型化の中で育つのか」などの意見が出された。
 一方、及川良一委員(東京都立三田校長)は、「都立高校のエンカレッジスクールでは確実に中退者が減った。類型化は社会的な意味があった」と発言、直原裕委員(東京都教育庁都立学校教育部長)は、「都立高校は、生徒が課題をはっきり見えている学校。大学進学も高校教育の立派な目的。ただし中堅校が手付かずだった。見掛け上、中退者は少ないが、今回を中堅校の課題解決の出発点にしたい」などの発言があった。次回会合は七月十二日で引き続き同案を検討する。八月以降には、高校教育の「コア」をどうするかなど、個別のテーマについて議論する。高校早期卒業制度についても今後議論する。
記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞