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記事2012年6月23日 2242号 (1面) 
株式会社立学校の設置 全国展開は適切ではない
特区評価調査委員会が決定
文部科学省 既設校の学法化支援 関係法令等の順守徹底で 
新規開設は厳しい状況に
 政府の構造改革特別区域推進本部評価・調査委員会教育部会(部会長=若月秀夫・東京都品川区教育委員会教育長)は、六月十五日、都内で会合を開き、平成二十四年度の早期に結論を出すとしていた「学校設置会社による学校設置事業」(特例措置番号816)の取り扱いについて、「本特例措置の効果が認められる一方で問題点も指摘されている以上、全国展開は適切ではない」などとする評価意見を取りまとめた。六月二十九日の評価・調査委員会に報告、同特例措置の運用方針が見直されることになる。

 「学校設置会社による学校設置事業」とは、いわゆる特区制度の一つで、地方公共団体が教育上または研究上特別なニーズがあると認める場合には、株式会社に学校の設置を認めるというもの。大学や小学校など学校教育法第一条に規定される学校は、国、地方公共団体、学校法人(私立学校)しか設置できない。
 六月十五日の教育部会は文部科学省関係者も出席し開催された。初めに「学校設置会社による学校設置事業」に関する評価意見案が特区事務局から読み上げられた。評価意見は「是正」(規制の特例措置の手続きを見直すことで弊害の予防等の措置が確保され、是正された予防等の措置について特区における検証を要するもの)という内容で、その理由については、規制所管省庁(文部科学省)等による調査で、▽通信制高校において特区外の民間教育施設で添削指導等を実施する事例、通信制高校においてメディアを利用した場合の視聴確認や、教育課程等に関し、疑義が呈される事例、認定地方公共団体の、高校以下の株立学校への評価に関し、評価方法及び公表方法が不適切な事例などが見られたこと。その一方で地元人材の雇用創出等の効果が見られたものの、今後については、既存校に関しては、教育の質の保証を確保しつつ、特区制度の趣旨に沿った運用を図るべく、内閣府は、株式会社立通信制高校の面接指導等が特区区域内で行われるよう、改めて認定自治体に周知・徹底すること、文部科学省は適切な教育活動が実現するよう、認定団体に対し周知・指導することを確認。また、新たな特区計画の申請があった場合、認定団体における指導体制の確立等を確認した上で認定を行う。文部科学省は関係法令・通知等を踏まえ適切な教育活動の実施について助言することとなった。一方、既存の株立学校が学校法人への移行を希望した場合、新たな学校の「設置」ではなく、「設置者変更」として認可を行うなどのこれまでの制度の弾力化等について情報提供を行うほか、相談窓口を設けて学校法人化を支援することになった。若月部会長は、文部科学省と内閣府に対して、丁寧な相談、手続きの煩雑化を避ける、地方の自発性の尊重などを改めて要請した。今回、株立学校設置に一定の歯止めがかかった背景には評価・調査委員会委員に「株立の通信制高校にはほとんど規制が働いていない」と言わしめるなど様々な問題点が判明、また、最近、大学、高校教育とも質の保障が最大の命題になってきたことが影響ある。
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