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記事2012年6月13日 2241号 (1面) 
屋内運動場の天井材等の耐震化強化へ
文部科学省 耐震対策の推進方策など研究
専門家による会議が初会合
 文部科学省の「学校施設における非構造部材の耐震対策の推進に関する調査研究協力者会議」がこのほど発足、五月三十日、文部科学省で初会合を開いた。昨年の東日本大震災では校舎に大きな被害がなかった学校でも屋内運動場等の天井材が落下するなど「非構造部材」に大きな被害があったことから、その耐震対策を検討するため、専門家による会議が発足したもの。被害状況と課題を整理、点検・対策の基本的な考え方、耐震対策の推進方策を検討、取り組み事例等の収集・提供も行っていく。平成二十五年三月に最終報告をまとめる。委員は特別協力者を含め十人で、主査は岡田恒男・一般財団法人日本建築防災協会理事長。
 特に学校の特性を考慮した屋内運動場等の天井の耐震性能や天井落下防止のための技術的な対応方策、非構造部材の耐震対策を加速させるための今後の方策をワーキンググループも設置して検討していく。
 初会合には高井美穂副大臣も出席、学校施設は子どもの安全を守ると同時に、災害の発生時には避難所にもなることから、天井材、照明等の耐震化は急務とし、活発な調査研究を要請した。
 この日の会議では、国土交通省の担当官から天井の耐震的な仕様の検討結果等が報告されたほか、宮城県栗原市の教育委員会事務局から学校施設の非構造部材の被害状況等が報告された。また、委員の一人である清家剛・東京大学大学院准教授から天井被害調査事例報告も行われた。委員からは、「屋内運動場に天井材は必要か。天井幕ではだめなのか」「天井の耐震設計を誰が責任を持ってやるのか。今まではやっていないといえる」「無いものは落ちない」「学校関係者としては、天井材より照明の方が怖い。バスケットボールのゴールも落下した」「誰が(天井の)安全性の診断をするのか考えないといけない」などの意見が出された。市町村立学校の場合、九三・三%の学校が避難所に指定されており、都道府県立高校でも六七・五%が指定されている。公立小中学(岩手県、宮城県、福島県を除く)全校の非構造部材の耐震対策実施率は二九・七%。耐震点検を行っている学校は六五・三%で、三割強の学校は耐震点検を行っていない。非構造部材の耐震対策未実施の理由については、「躯(く)体(たい)の耐震化を優先」「工事費用の確保が困難」「他の整備と併せて実施予定」で全体の約四分の三を占めている。


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