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記事2012年6月13日 2241号 (1面) 
日私中高連 常任理事会で早期卒業制度問題討議
高校教育の崩壊 懸念する意見も
 日本私立中学高等学校連合会(吉田晋会長=富士見丘中学高校長)は、六月十二日、東京・市ヶ谷の私学会館で常任理事会を開き、平野博文・文部科学大臣が六月四日の国家戦略会議で創設を表明した「高校早期卒業制度」について討議した。
 この日は、文部科学省から、山下和茂・初等中等教育局初等中等教育企画課長、小谷和浩・同課教育制度改革室長も出席、同制度が発表された経緯や、優れた学力を持つ高校生の大学早期入学に関するこれまでの検討状況等を説明した。
 その中では、現在高校二年修了後、大学に飛び入学する制度があるものの、高校を中退して飛び入学するため進学した大学を中退した場合、最終学歴が「中卒」となってしまうことの改善を図るためであることなどを説明。また、大学の秋入学と結びつけた報道や学業成績に加え芸術やスポーツの分野でも実施するとの報道を取り上げ、「大変驚いている。芸術やスポーツ分野での実施は全くの誤報」とした。同連合会の常任理事等からは、「高校早期卒業制度利用者の受け入れ大学の規模を想定しているのか。規模が大きくなれば高校教育は崩壊する」「教育現場の声を反映していない」「子どもの成長過程はそんなに変わっていない。それをよく見てほしい。主役は子どもだ」「審議会で話し合っている最中に結論を出している」「(二年間では)人間教育が成り立たない」「大学生の中に十七歳を入れていいのか」等の意見が出された。同連合会ではこの問題については引き続き同省と意見交換していく方針。
 高校早期卒業制度については、三年間の単位を二年で取得するのは極めて難しいとされており、実施の対象は六年一貫の中高一貫校に絞られ、それを五年に短縮するのではないか、そうしたことから公立の中高一貫教育はすべて五年制に移行するのではないか、といった憶測も飛んでいる。
 山下課長は、「受験秀才型の生徒が早期卒業制度で東京大学に入るとかなると、慎重な検討が必要で、個人的にはそれならやらない方がいい」と語ったが、同制度の詳細については、これから検討していくため、同制度の具体的な内容に関する発言はなかった。
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