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記事2012年4月3日 2234号 (1面) 
学生が主体的に学ぶ時間増加へ
教員の意識改革など求める審議報告まとめる
中教審大学分科会大学教育部会
中央教育審議会大学分科会の大学教育部会(部会長=佐々木雄太・愛知県立大学学長)は三月二十六日、文部科学省内で会議を開き、各大学に対して、学生が主体的に学ぶ時間を増加させる取り組みを促す審議報告をまとめた。
 「予測困難な時代において生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ」と題した審議まとめは、学士課程教育の質的転換は「待ったなし」の課題であると指摘。学士課程に対する社会的評価が低い要因の一つとして、主体的な学びのための学生の学修時間が少ないという大きな問題がある、とする。
 学士課程では、一単位は四十五時間の学修で構成するとしており、卒業要件である百二十四単位以上の修得には、学期中一日当たり平均約八時間の学修が前提となる。しかし、日本の学生の学修時間は一日平均四・六時間との調査結果もあり、単位取得に必要な時間が確保されていない。
 そこで、同部会は、各大学がまず取り組むべき課題として「質的転換を目的とした学修時間の実質的増加・確保」を挙げ、教育課程の体系化、組織的な教育の実施、授業計画(シラバス)の充実、全学的な教学マネジメントの改善など、学生が主体的に勉強する仕組みづくりを、各大学に促している。
 その際、ただ授業時数を増加させて学修時間を増やすことのないよう、各授業科目の内容・方法の改善、授業科目同士の整理・統合や連携、履修科目登録の上限の設定などへの取り組みを求めている。特に、授業を担う教員に対して意識改革を促し、個々の授業を質的に進化させることを求めている。文科省に対しては、各大学の取り組みを資源配分の際の参考資料の一つとして政策的に支援・奨励することを求めている。
 今後の検討課題としては、学生の学修の実態把握、教員の教育力向上のための具体的方策、評価の在り方などが挙げられており、こうした点を含めて、大学分科会は今夏をめどに、答申をまとめる予定だ。
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