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記事2012年4月23日 2236号 (1面) 
課題の整理と検討の視点案を審議
中教審・高等学校教育部会
高校教育質保証方策の在り方検討
「類型化」念頭においた施策実施の提案も
 中央教育審議会の初等中等教育分科会高等学校教育部会(小川正人部会長=放送大学教養学部教授)の第七回会合が四月十六日、文部科学省内で開かれ、過去六回の議論を集約した「課題の整理と検討の視点案」が初めて提示され、検討が行われた。「課題の整理と検討の視点案」は、高等学校教育の現状、今後の施策の方向性、高等学校教育の質保証、各種の振興方策(検討事項例)の四部構成で、全体で十ページ。この日は各種の振興方策を除き検討が行われた。
 この中で焦点となったのは、進学率が九八%となり多様化が進む高校教育の質をどう保証するかで、委員からは、「修得主義に立ち返るべきだ。中退率は増えるが、社会の高校教育に対する不信感は減少する。その中で教育者はいかに中退率を下げるかだ」「すべての生徒が卒業できていい。履修主義でいい。ただし修得度を確認する仕組みが必要」「修得主義を取ると、中退者が増えるのは果たしてそうか。学ぶことを軸に学習意欲を自ら引き出していけるような高校教育にすべきだ」などといった意見が出された。
 「課題の整理と検討の視点案」は、今後の施策の方向性として、生徒が修得すべき内容を明らかにし、その内容を確実に修得させることを通じて、個々人の次なるステップに向けて能力等を高めていくこと、その際、最低限修得させる内容の検討、高校教育に類型(例えば社会のリーダー層を育成する学校、芸術・スポーツ等の特別な才能を伸ばす学校、自立して社会生活・職業生活を営むための基礎的な能力を育成する学校など)を念頭に置いた施策を講じることなどを提案したが、類型化に言及した数人の意見では総じて不評だった。
 そのほか、「工業高校と普通科が同じ学習指導要領ということに無理がある」「都教委では教科ごとに卒業時のスタンダードを定めようとしている。ミニマムか、目指すべき内容か、明確にして公表したい。卒業時の到達度試験も考えたい」「類型分けには違和感を持った。労働市場の変化や本人の希望の変化に対応できるのか」「学習意欲が大事。授業の工夫が大事。高校の三年間についてはもう少し自由にしていい」などの意見が聞かれた。次回五月十八日には各種の振興方策を含めて検討する。
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