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記事2012年3月13日 2232号 (1面) 
中央教育審議会高校教育部会
4月以降 重点課題の絞り込みへ
第6回部会では 文科省が広域通信制の問題指摘
 中央教育審議会初等中等教育分科会の高等学校教育部会(小川正人部会長=放送大学教養学部教授)は、三月九日、文部科学省で第六回会合を開き、同部会が検討課題に挙げている中で、「個々の人格形成の場としての機能の再構築」の問題を議論した。この日は、東京都教育委員会から小・中学校で十分能力を発揮できなかった生徒を対象にしたエンカレッジスクール等について、学校法人日本放送協会学園高等学校から、中途退学者等を作らないための、生徒の自宅での生活実習を組み入れたユニークなカリキュラムやインターネットを活用したコース等について聴取し、意見交換を行った。
 議論に先立って文部科学省は高校生の不登校・中途退学の現状等の報告の中で、中退者等を受け入れている広域通信制高校を取り上げ、@他の都道府県に設置されている面接指導施設における教育活動の実態を把握することが難しいA添削指導のほとんどを多肢選択式としたり、添削において解説等を付さず正誤のみ表記するなど、望ましくない事例が見られるB面接指導におけるメディアを利用した場合の減免措置を取り入れる場合に、学習の成果の評価を十分行うことができない事例が見られるC民間教育施設であるサポート校の職員が添削指導を行っていると疑われる事例が見られる、などの実態を説明した。
 この問題に関しては、学校法人日本放送協会学園高校の賀澤恵二校長は「子どもたちが犠牲になっている。早く議論を深め、是正してほしい」と訴え、また、委員の長塚篤夫・順天中学高校長も広域通信制高校の生徒には個別授業を充実させる必要性を指摘した上で、その個別指導をサポート校が肩代わりし、サポート校自体が広域通信制高校を開設する状況となっていること、生徒は高額な学費を負担し、指導等にも大きな問題があることなどを力説、早急な改善を要請した。
 同部会の渡邊洋一委員(埼玉県立大宮中央高校長、通信制・定時制の独立校)は、通信制高校への手厚い教職員、スクールカウンセラーの配置、養護教諭の配置義務化等を要請、通信制高校の適正規模の検討が必要だと指摘した。同部会は、予定していた検討課題の議論を終え、次回(四月十六日)からは数回をかけ、優先して重点的に検討していく課題の絞り込みを行い、その後、議論を深めていく方針だ。
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