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記事2012年12月23日 2259号 (1面) 
学校法人会計基準改正へ報告書素案公表
基本金の取り扱いなどで大幅基準改正へ
平成27年度から施行 高校法人等には特別措置
文部科学省の「学校法人会計基準の在り方に関する検討会」(座長=大橋英五・立教大学名誉教授)は、十二月二十日、同省内で第七回会合を開き、これまでの審議内容をまとめた「検討のまとめ(素案)」について審議し、委員の意見をほぼ集約した。
 これを受けて、同省は十二月二十五日、「検討のまとめ」の文言を一部修正したものを「報告書(素案)」として公表、平成二十五年一月十五日までの予定で同素案に対する意見募集を行っている。
 今後は、意見募集終了後、二十五年一月二十四日に同検討会の第八回会合を開き、「報告書」として取りまとめる予定。その後、学校法人会計基準(省令)の改正案を作成、パブリックコメントにかけた後、平成二十四年度末までに同基準を改正する予定。
 今回の改正は、学校法人が一層の説明責任を果たすことができる、また、経営者の適切な経営判断に一層資するものとなるよう実施するもの。
 具体的には、@基本金に関しては、▽基本金制度は維持する▽第二号基本金について対応する特定資産を明確化する▽第三号基本金について対応する運用収入を明確化する▽第四号基本金については対応する特定資産を計上する、対象資産が積み上げられない場合は、その旨と対応策の注記を求める。
 A資金収支計算書に関しては、▽新たに付表として「活動区分別資金収支表」を作成する。
 B消費収支計算書に関しては、▽毎期の収支バランスを判断できるよう、現行の基本金組入後の収支差額に加えて、基本金組入前の収支差額を表示する▽収支バランスについて、経常的な収支バランスと臨時的な収支バランスを区分して把握できるようにする▽「消費支出準備金」等は廃止▽「消費収支計算書」を「事業活動計算書」に名称変更する。
 C貸借対照表に関しては、▽固定資産の中科目として新たに「特定資産」を設ける▽「基本金の部」と「消費収支差額の部」を合わせて「純資産の部」とするなど。
 Dその他の点に関しては、▽災害等で使えなくなった施設等について、有姿除却の考え方を導入する▽減損会計の考え方は導入しない。
 また、金融商品会計に関しては、▽金融商品の時価情報の注記を商品別・保有目的別に充実する▽評価基準は取得原価主義を継続し、著しく評価額が下落した場合に評価替えを行う。連結会計に関しては、▽学校法人間の取引について広く注記する▽連結会計の考え方は導入しない。
 法人の継続性の担保の仕組みに関しては、▽第四号基本金の強化等の、法人の継続性を担保するための仕組みを充実する▽企業等でいう継続法人の前提の考え方は導入しない等が大きな変更点。
 このほか、計算書類の様式等が大きく変更となり、会計システム対応等を含めた実務への影響が大きいため、新基準の施行に関しては、二年程度の準備期間を取った後、平成二十七年四月からとする。ただし、知事所管法人(高校法人等)については必要に応じて一年間の猶予を置き、遅くとも平成二十八年四月から実施することとしている。また、知事所管法人に関しては、施設整備や財務活動の金額や頻度が多くなく、区分経理するための負担も大きいことから、「活動区分別資金収支表」の作成の義務付けは行わないこと、としている。
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