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記事2012年11月3日 2254号 (1面) 
高校での「共通テスト」求める声
一方で問題点を指摘する意見も
高大接続特別部会
中央教育審議会の高大接続特別部会(部会長=安西祐一郎・独立行政法人日本学術振興会理事長)は、十月三十一日、文部科学省内で二回目の会合を開き、大学入学者選抜の現状と課題について同省から報告を受けたほか、田中義郎・桜美林大学教授と荒瀬克己・京都市教育委員会教育企画監から意見聴取を行った。
 このうち田中教授は、「高等教育のグローバリゼーションと大学入試」と題して意見発表、グローバル化時代、多様な価値が花開く時代には、排除(=selection)のための選抜型試験、テストで高得点を上げるための準備に駆り立てる「High Stakes Test」(大変なものがかかっているテスト)の弊害から脱却し、「Low Stakes Test」(日々の学習診断のためのテスト)、高等教育への参加許可の判定型のテストに移行すべきなどと述べた。
 荒瀬教育企画監は前任校・京都市立堀川高校での実践を元に、「探求型学習と大学入試」について意見発表した。荒瀬氏は、同校で進めている「自立する十八歳」を目標に、「探求型学習」と「言葉と体験の重視」の教育などを紹介。その上で、高校では基礎学力を測る「共通テスト」の必要性を強調した。その共通テストについては、グレードで習得状況を把握、複数回受験が可能、卒業要件とはしないものとし、大学入試では、活用能力と学習意欲を把握できるような問題や面接等の実施、初年次の授業に必要な基礎学力(判定)では「共通テスト」の活用等を要望した。
 その後の委員からの発言では、複数の委員から「共通テスト」実施を求める意見が出されたが、吉田晋委員(日本私立中学高等学校連合会長)からは、「『共通テスト』の実施が大前提であるようだが、(テストの)水準はどうなるのか。費用面を考えても実施は難しい。何度受けても受からない子供は出る。(教育の充実には)もっとお金をかけることを考えるべきだ」との発言があった。
 それを受けて安西部会長は「共通テストを実施することが前提ではないと思う」と述べ、高校生の習熟度を測る共通テスト実施が決定事項ではないことを説明した。
 次回(第三回)は十一月三十日に開催される。


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