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記事2012年11月13日 2255号 (1面) 
大臣の不認可発言で教育界に激震
連日、マスコミが報道
新たな設置認可のあり方は近く検討へ
 十一月二日、田中眞紀子・文部科学大臣の「短大などを廃止して四年制に是非新設をしたいということですので、これは残念ながら認可するわけにはいかない」という発言で始まった、札幌保健医療大学、秋田公立美術大学、岡崎女子大学の三大学不認可問題は、十一月九日、田中大臣の陳謝で終息した。
 大臣の突然の不認可発言は、大臣の日頃からの注目度もあってマスコミで連日報道され、ワイドショーでも大きく取り上げられた。報道の論調は大臣の発言は唐突過ぎて、不認可は理不尽というものだったが、大学が増え過ぎて多くの大学で定員割れが生じ、大学の質の低下が懸念される―という大臣の問題意識や問題提起に反対の声は聞かれなかった。
 文部科学省の担当官から不認可と電話一本で告げられた当の三大学は来年四月の開学に向け教員の採用や施設の建設等を進め、本格的な募集活動を直前にしていただけに強く反発、十一月六日には秋田公立大学が声を掛ける形で、東京・品川駅前のホテルに三大学の理事長や学長等が集まり一時間半にわたり初めて懇談、訴訟も辞さないといった当面の対応方針を確認した。懇談の席には五十人近いマスコミ関係者が詰めかけた。テレビカメラが何台も並び、ワイドショーの有名レポーターも顔を見せた。
 大臣の突然の発言に日本私立大学団体連合会、日本私立短期大学協会も反応、六日、大学設置・学校法人審議会の答申は大学関係者の叡智を結集させた結果で、大臣の今般の決定は法制上許容されるのか否か甚だ疑問との「緊急声明」=全文別掲=を発表している。翌七日、三大学は民主党、自由民主党、文部科学省を回り、今回の大臣の発言の理不尽さを訴えて回った。同日、大臣は衆議院の文部科学委員会に出席、野党議員の集中砲火≠浴びていた。民主党内でも大臣に翻意を求める声が高まり、結局、現行制度の下で認可すると大臣が発言、九日の陳謝で事態の収拾が図られた。大臣が進めたいと考えた大学設置認可の在り方の見直しについては近く検討会が発足する予定。大学関係者以外も多く参加する見通しで、私大関係者も含め各方面の叡智を集め、新しい大学設置認可や量的在り方等が検討される見通しだ。

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