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記事2012年11月13日 2255号 (1面) 
全審連が鹿児島で総会開催
株立学校の新たな特区申請には 内閣府は厳密な審査を
学法への移行も協議
 各都道府県知事の公的諮問機関で私立高校等の設置認可の是非等を審議する私立学校審議会の委員で構成する全国私立学校審議会連合会(近藤彰郎会長=東京都私立学校審議会長)は十月二十五・二十六の両日、鹿児島市内のホテルで総会を開き、構造改革特別区域の学校設置会社による学校設置事業など私立学校や私立学校行政が直面している課題等について協議、情報交換した。

 今年の総会には、私立学校審議会委員に都道府県私立学校所管部課職員、私学団体事務局を合わせて約百七十人が出席、専修学校・各種学校関係、幼稚園・特別支援教育関係、小学校・中学校・高校関係の三専門部会に分かれて七つの課題を審議した。
 このうち小学校・中学校・高校関係の第三専門部会では、@私立高校の新設計画に係る生徒需要予測の提出の有無や、提出を求めている場合の審査の視点、A構造改革特別区域の学校設置会社による学校設置事業が協議題として取り上げられた。生徒需要予測とは、私立高校の設置計画承認または設置認可に際して学校運営の安定性・継続性の観点から生徒確保の確実性(見込み)を判断する際の資料(申請時の添付書類)。全審連事務局の調査では、全都道府県中二十四道府県で生徒の需要予測の提出を求めており、二十三都県では提出を求めていなかった。需要予測が不十分だとして設置審査等を「継続審議」となった事例が二県であり、そもそも不十分事項がある場合には私学審議会に附議しないという自治体も確認された。
 生徒の需要予測を求めている自治体で審査の視点としているのは、「収支の計画に関連してその人数で運営ができるのか」や「一般的には生徒数が順調に増える計画となることから、無理な計画になっていないか、各種統計データからその妥当性、整合性を審査する」など。
 こうした状況の中で、委員による協議では、単に数の問題だけではなく、これらか開設しようとしている私立高校の教育内容に対する需要も審議に当たって重要といった意見も聞かれ、最終的には需要予測以上に新設校の教育理念が重要であることを確認した。
 また、いわゆる株式会社立学校問題に関しては、全審連事務局の調査では、新たな特区申請があった場合、学校設置会社立での経営の安定性・永続性及び収支見込みの確実性についても「内閣府は特に厳密な審査を行うべきだとする」地方自治体は「該当がなく、県として公式な見解はない」と答えた県を除いて全国のほとんどを占めた。
 平成二十四年四月一日現在、全国には二十一の株式会社立の高校があるが、その大半は広域通信制。文部科学省の行った調査でも数多くの不適切な運営が確認され、改めて基準の厳格な適用の必要性等が確認され、今年になって文科省、内閣府両府省から関係機関に通知が出されたほど。両府省の協議では、株式会社立学校が学校法人立に移行を希望する場合、文科省は弾力的措置(設置者変更での対応)についても情報提供することなどが決まっており、県の審査基準に適合しているか審査していないため新たな学校の設置とするか、設置者変更とするかは、各都道府県の判断となるが、全審連事務局の調査では四十七都道府県中三十三の自治体が「新たな学校の設置として扱うべきだ」との意向で、残りの十四の自治体が「設置者変更として認可を行うことも止むを得ない」「現時点では判断できない」などの意向だった。
 こうした報告に委員からは、「(設置者変更扱いが)財政状況が悪い株式会社立学校の学校法人化への抜け道になるのならおかしい」「市は株立学校を作ったが、その後は全く指導がない」「サポート校の問題もある。総合的な実態把握が必要」「株式会社立学校については安易に学校法人化すべきではない」などの意見が出された。専修学校等に関しては単位制・通信制の導入に係る取り組み・審査基準の改正状況等で情報・意見交換等が行われた。単位制、通信制とも設置認可等に関する審査基準を策定した地方自治体はまだほとんどない状況。ただし単位制、通信制導入を計画している学校は両者を合わせて全国で二十七校あることも分かった。幼稚園等に関しては、幼稚園の定員管理や幼保連携型認定こども園の拡充への対応等が協議された。


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