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記事2012年10月3日 2251号 (1面) 
グローバル化時代の大学入学者選抜等を検討
中教審高大接続特別部会が初会合
八月二十八日に平野博文・文部科学大臣(当時)から諮問され、発足した「中央教育審議会・高大接続特別部会」の初会合が九月二十八日、文科省内で開かれた。@高校から大学までを通じて育成すべき力と育成するための方策A大学入学者選抜の在り方B高校教育と大学教育の接続・連携の在り方等を検討する特別部会の部会長には安西祐一郎・独立行政法人日本学術振興会理事長(前慶應義塾長)が就任、一年後の答申を目指して自由討議を開始した。

センター試験見直しも
1年後を目途に「答申」とりまとめ


 人材育成等の面でグローバル化に遅れ、地盤沈下の続く日本経済復活には、社会の改革のエンジンとなる大学づくり、学士課程教育の質的転換や高校の質保証が不可欠として、さまざまな審議会や団体等が早急な改革を求めている。
 八月二十八日にまとめられた中教審答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」も、大学の学士課程教育の質的転換には高校教育と大学教育の接続・連携の改善等が課題と指摘。同日の平野文科大臣の諮問でも、高校教育、大学入学者選抜、大学教育は相互に密接に関連し合うもので一体的改革が必要なことを強調している。
 そうした中で今回、高校と大学の接点となる大学入学者選抜の在り方等を検討する高大接続特別部会が発足、高校教育の質保証、大学入学者選抜の改善、大学教育の質的転換を一体的に検討する場ができたことになる。
 高校教育に関しては中教審初等中等教育分科会の下に「高等学校教育部会」が設けられており、既に十二回の会合が開かれている。高校においてどのような能力を生徒に身に付けさせるのか、生徒の修得の到達目標を誰がどのように設定するか、到達目標に対する達成度をどのように把握するかなどが検討されている。
 大学に関しても質保証のためのシステムの検討が続けられている。
 大学入学者選抜に関しては高校教育に大きな影響を与えるものとされながらも抜本的な改革が行われずにきた。
 そこで高大接続特別部会では、高校教育と大学教育の接点としての大学入学者選抜が果たすべき機能、入試方法の多様化や評価尺度の多元化、受験機会の複数化の現状と課題、生涯を通じて不断に主体的に学び考える力、予想外の事態を自らの力で乗り越えることのできる力、グローバル化に対応し活力ある社会づくりに貢献できる力を育成する観点からの大学入学者選抜の在り方、大学入試センター試験の課題と今後の在り方を検討していく。
 委員は別掲の十九人。大学関係者、高校関係者、企業関係者等が参加しているが、大学入学者選抜は大学の学生募集に留まらず、高校の生徒募集にも関係し難題とされている。かつて文部科学省で高大接続テストが検討されたものの、結局、たなざらしのような状況となっている。
 また、高校の学習到達度を測る試験の導入を求める声もあるが、高校は一〇〇%近い進学率の中で極めて多様化し、学力も小学校での学習のおさらいが必要な生徒もいる。大学の入学者選抜も多様で、果たして一年で有効な手だてが検討できるのか、教育関係者の大きな注目を集めている。


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