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記事2011年7月23日 2211号 (1面) 
教員資質能力向上特別部会
基本制度WGが初会合
「イメージ例」基に論議  単一基準での採用は問題との声も
 中央教育審議会「教員の資質能力向上特別部会」の審議経過報告を受け、教員養成や教員免許制度、現職研修等の具体的な制度等を検討する同特別部会の「基本制度ワーキンググループ」(座長=横須賀薫・十文字学園女子大学長)の初会合が七月二十二日、都内で開かれた。初会合では文部科学省が作成した「教職生活の全体を通じた教員の資質能力向上のイメージ例」=別掲=を基に委員が独自に論点を出し合い、今後の議論の進め方等を話し合った。

中教審の審議動向

基本制度ワーキンググループ

 この日の会議には八人の委員に加え同特別部会の田村哲夫部会長、安西祐一郎副部会長、安彦忠彦副部会長も出席した。審議に先立って同省から、「審議経過報告で示された今後検討が必要な論点」や「教員に求められる資質能力に関する考え方(たたき台)」といった資料も提示、説明されたが、委員からは、「根幹になるものの議論が先」「資料は論点をほぼ網羅している。それを一つ一つつぶしても全体像が見えない」といった意見が出され、イメージ例を基に委員が考える論点を出し合い、それを通して今後の制度の在り方を考えた。
 イメージ例に関しては、「専門免許状は、学位と関係がない。幅広く取得可能とするのか」「専門免許状の先にある校長・副校長・教頭、教科指導・生徒指導等中核的教員、教職大学院教官は示す必要はない」「専門免許状を資格条件と考えていくのか」といった意見が出され、また横須賀座長からは、「校長や教頭といった管理職を資格化するのか、根本的にメスを入れるのか」との意見も出された。
 また今回の改革で柱となる教員養成の修士レベル化については、「修士レベルの課程等での学修を採用前の条件とするのが本筋か」、「大学に実践的指導力の育成を求めるのは、ないものねだり。大学にはリベラルアーツ等をもう少しきちんとしてもらい、実践的なものについては修士化レベルの中で補えばいい」「教職課程については学生に任せるのではなく、大学の教育課題として、明確な教育目標を設定して教員養成をきちんとすべきだが、開放制の教員養成中で(一般)大学がそうしたことができるのか」など教育委員会関係者からは大学での教員養成の抜本的な改革を求める意見が複数聞かれた。
 このほか横須賀座長は、「教員の採用にもっと光を当てるべきだ。単一の物差しで測っており、多様な人材の確保が必ずしも実現していない。免許と絡んで重要な問題」と指摘。安西副部会長は、「現状の改革にとどまらず、将来のことも頭に置いた議論」を求めた。

男女平等のスポーツ環境整備を
 振興基本計画策定に向け11月にも論点整理

スポーツ・青少年分科会

 中央教育審議会のスポーツ・青少年分科会(分科会長=衞藤驕E恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所副所長)は七月十九日、東京・霞が関で会議を開き、第二期教育振興基本計画の策定に向けた議論を始めた。今後、所掌分野の個別の施策の検討を行い、十一月をめどに論点整理を取りまとめて、教育振興基本計画部会へ報告する。
 この日の会議では、サッカー女子ワールドカップドイツ大会で優勝したなでしこジャパンについて「国としてどう評価すべきか、国からの支援があったのか、なかったのかを含めて検証すべきだ」との意見が出た。
 委員の一人である田嶋幸三・日本サッカー協会副会長は、女子サッカーの全国高校体育連盟への加盟は認められたものの、中学校に女子サッカー部がほとんどないため、小学校から中学校に上がった時点でサッカーをやめてしまう女子が多いと説明。部が少ない理由として、グラウンドや施設整備の問題を挙げ「なでしこの活躍で、部を作りたいという問い合わせも来ている。アメリカやドイツが強いのは、男女が平等にスポーツができる環境があるからだ」と、環境整備の必要性を訴えた。他の委員からも「男女の違いに限らず、誰でもスポーツができる、偏らないスポーツ施策が重要だ」などの意見があった。

今期の検討課題の柱は
学習活動を通じた「絆」再構築など

生涯学習分科会

 中央教育審議会の生涯学習分科会(分科会長=大日向雅美・恵泉女学園大学大学院平和学研究科教授)は七月十一日、文部科学省内で会議を開き、今後の運営方針などを決めたほか、東日本大震災からの復興を視野に入れた生涯学習の施策について意見交換を行った。
 今期の生涯学習分科会で検討すべき課題としては、第五期の検討状況を踏まえた上で、大きな柱として@学習活動を通じた地域の「絆」の再構築と地域課題の解決Aライフステージ等に応じて求められる学習環境の整備B学習の質の保証と学習成果の評価・活用―が挙がっている。同分科会では、課題ごとに目指すべき到達点や、そこに至るための具体的方策等を検討するためのグループ討議を行い、その結果を踏まえた上で、分科会全体で討議を行う方針。検討の進んだ事項から、逐次、提言等を実施する。
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