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記事2011年6月3日 2206号 (1面) 
中教審作業部会が中高一貫教育制度整理案
公立一貫校でも学力検査実施 その是非、本音で議論
 中央教育審議会初等中等教育分科会の「学校段階間の連携・接続等に関する作業部会」(小川正人主査=放送大学教養学部教授)は、五月三十日、文部科学省内で第五回会合を開き、これまでの審議内容等を基に小川主査と事務局(同省)が作成した「中高一貫教育制度に関する意見等の整理(案)」について検討を行った。整理案は、中高一貫教育の現状等の総論に始まり、教育課程の特例の活用状況とその拡充の必要性、学力差やいわゆる中だるみ問題への懸念等を取り上げている。
 このうち公立一貫校に関して制度創設時からエリート校化しないよう入学者選抜で学力検査実施が禁じられたにもかかわらず、実質的な学力検査である「適性検査」を実施している問題が取り上げられた。同省の前川喜平・総括審議官も適性検査は学力検査と認めた上で、今後は、学力検査を正式に行うのか、公立の選抜は抽選とするのか、公私間の競争条件のイコールフッティングをどうするのか、本音で議論してほしいと要請した。
 これに対して公立学校関係委員からは学力検査の解禁と抽選の廃止を求める意見が出された。
 公立での学力検査実施については厳しく制限すべきとの意見はほとんど聞かれなかったが、「学校はどんな人材を欲しいか明確にしていない」「中高一貫教育は私学が先駆的に行ってきた。公立は私学のまねをしてはいけない。公立は私学とは違う在り方を考えるべきだ」といった意見等が聞かれた。
 また中高一貫教育校に認められている教育課程上の特例措置に関して整理案では学校設定教科・科目の単位の上限の引き上げ、中学校における指導内容の他の学年への移行の明文化等を提案しているが、旧来からの私立中高一貫教育校にはそうした特例措置が認められていないことに対する「違和感」を述べる委員もいたが、その点について同省は従来の考え方を繰り返すだけでこれまでに比べ一歩踏み込んだ考えは示さなかった。
 さらに中高一貫校の中だるみを問題視している整理案に対して、「中だるみは本当に悪いことか。教科を離れて色々な問題に向き合うことで自分の価値観を獲得する(重要な時期)」と指摘する意見や、教員側の論理で中だるみとしていることが問題だとする意見も聞かれた。整理案は中高一貫教育校については設置促進の方針を示している。六月中に開く次回でも整理案を検討する。
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