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記事2011年6月23日 2209号 (1面) 
中教審・作業部会 中高一貫教育制度見直しで意見整理
公立一貫校での学力検査実施めぐり
賛否両論併記 7月、初中分科会に舞台移し、議論継続
 中央教育審議会初等中等教育分科会の「学校段階間の連携・接続等に関する作業部会」(主査=小川正人・放送大学教養学部教授)は、六月二十二日、文部科学省内で第六回会合を開き、「中高一貫教育制度に関する主な意見等の整理案」について検討を進めた。同整理案が初めて委員に提示された前回会合(五月三十日)では、公立中高一貫教育校での学力検査解禁をめぐって賛否両論が噴出。
 そのため、第六回で提示された「意見等の整理案」は学力検査の是非等を中心に大幅な修正が加えられた。具体的には、公立学校でもそれにふさわしい選抜方法は当然あってよいなど学力検査の実施を容認する考え、同時に、公立学校は私立学校とは異なる中高一貫教育の在り方を目指すべきではないかなど学力検査を容認しない考え方を併記。現在、実質的な学力検査といわれている適性検査について、その内容が妥当なものか、各教育委員会において検証していくことが必要で、学力検査を実施しないこととされていることを改めるかどうか判断することが重要と指摘している。
 また地域の実情に応じた中高一貫教育校の整備が望まれること、私立学校が公立学校と、あるいは私立学校間で切磋琢磨していけるような環境整備が望まれることなどが、その他の論点として挙げられている。
 五月三十日に提示された意見等の整理案に対しては、日本私立中学高等学校連合会(吉田晋会長)が六月二十日、同作業部会に対して意見書を提出したこと、その概要が説明された。意見書は、公立中高一貫教育校では法令上、学力検査が禁止されているにもかかわらず、適性検査が広く実施されており学力判定の有力手段として機能していることや、適性検査の実施は中高一貫教育制度創設当時の国会の付帯決議の趣旨を反故にするものである点などを指摘している。同連合会の意見書に対して文部科学省からは明確な見解などは示されなかった。
 この「意見等の整理案」は今後、第六回会合で委員から出された意見等に関して小川主査が中心となって修文し、七月中に開催予定の初等中等教育分科会に最終報告として提出される予定。同作業部会での中高一貫教育に関する検討は第六回会合で終了となり、次回からは一部委員の入れ替えや補充が行われ、小学校教育と中学校教育の連携、中一プロブレムへの対応等を検討する予定。
   ◇
 同作業部会では公立の中高一貫教育校での学力検査や適性検査の是非が大きな焦点となったが、同作業部会として全国の公立一貫校が課している適性検査の実際の問題の検証は行われず、また公立中高一貫校生の塾通いの実態も報告されなかった。それだけに、いささか結論を急ぐ形で検討が進められた、との印象が残った。
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