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記事2011年6月23日 2208号 (1面) 
中教審 教員資質能力向上特別部会開く
年度内にも改革のたたき台
WGの設置決める 開放制、私学、短大の扱いなど焦点
 中央教育審議会の教員の資質能力向上特別部会(田村哲夫部会長)は、六月十五日、都内の会館で第十回会合を開き、同部会が今年一月にまとめた「審議経過報告」に関して法改正に向け具体的・専門的な調査審議を行う「基本制度ワーキンググループ」を新設することを決め、田村部会長がそのメンバーを指名した。WGのメンバーは、座長の横須賀薫・十文字学園女子大学長を含め八人、そのほか田村部会長、副部会長の安西祐一郎・慶應義塾学事顧問と小川正人・放送大学教養学部教授が適宜参加する。WGでは平成二十三年度内に改革の「たたき台」をまとめる予定。

 この日は、WGの審議に先立って、文部科学省から「改革の基本的な考え方について」「教職生活の全体を通じた資質能力向上のイメージ例」が提示され、それについて審議が行われた。
 このうち「基本的な考え方」は、今後検討する改革の方向性を示した資料(A4一枚)で、そこでは教職生活全体を通じて教員の資質向上を図ることを支援するため、免許制度と養成、採用、研修の一体的制度構築、具体的には修士レベル化、高度な実践的指導力を身に付けるための養成の在り方、基礎免許状、一般免許状、専門免許状の創設、社会人等の多様な人材の登用、研修の実施内容・方法についての見直し、教育委員会・大学等が連携した研修等の充実――を挙げている。
 また「イメージ例」(A4一枚)では、大学院等(修士レベル)を卒業しての一般免許状、大学を卒業しての基礎免許状取得を経て教員に採用され、その後、一般免許状取得者が、教職大学院等における学修、大学講習、教育委員会と大学の連携による各種研修等で専門免許状を取得、その後、各教員の資質能力に応じ校長や副校長、教頭、教科指導・生徒指導の中核的教員、教職大学院の教官へと専門分化していくイメージが描かれている。
 この日の審議で、文部科学省による説明では、基礎、一般、専門の三つの免許状の関係については今後整理が必要なこと、専門免許状については論点が出ているだけなので、一般免許状の上位なのか、横並びになるのか、まだ定まっていないことを明らかにしている。修士レベル化とは教職大学院なのか、一般の大学院も含むのかも、教員養成の開放制維持とからんで論点となるようだ。
 この中でWG座長となる横須賀学長は、「全教員がしっかり学んでいくプロセスが重要で、免許のはしごをかけて上へ登る人が資質向上という考えは危険。免許更新講習は改善を加えながら生かしていくべきだ。高度な学びもあるが、教育現場での学びを考えていくべきだ」などと語った。
 このほか私立学校での教員の在り方の検討が行われてないことを指摘する意見があり、同省からは公立学校を念頭に置いた議論となっている、私立学校をどうするかは今後検討していく、との考えが示された。
 この点について、田村部会長は私立学校の教員については必要に応じて検討すること、横須賀座長も、重要な点なのでWGの中で議論する見通しを明らかにした。また別の委員からは、「幼稚園教員が視野に入っていない。幼稚園の教員をどうするか明らかにしてほしい。学部卒で基礎免許状取得なら、短大卒は初心者にもいかない、ということになる。短大では教員免許は取れないとするのか」といった意見も出された。
 横須賀座長、田村部会長、安西・小川副部会長を除くWGの委員は次の通り。岸田正幸・和歌山県教育委員会学校教育局長、高岡信也・独立行政法人教員研修センター理事、高桑三男・京都市教育委員会教育長、長南博昭・山形県教育委員会教育長、日渡円・兵庫教育大学大学院教授、松木健一・福井大学大学院教育学研究科教職開発専攻長・教授、村山紀昭・前北海道教育大学長。
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