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記事2011年5月3日 2204号 (2面) 
文科省が教育の情報化ビジョン
〇二〇年に向けた 総合的推進方策策定
災害対応でも環境整備
 文部科学省は四月二十八日、二〇二〇年に向けた教育の情報化に関する総合的な推進方策である「教育の情報化ビジョン〜二十一世紀にふさわしい学びと学校の創造を目指して〜」を取りまとめた。昨年四月に設置された「学校教育の情報化に関する懇談会」(主査=安西祐一郎・慶應義塾大学理工学部教授)が中心となり一年間検討してきたもの。懇談会の下には教員支援、情報活用能力、デジタル教科書・教材・情報端末の三つのワーキンググループが設けられ、学識経験者や民間事業者、地方教育関係者等との意見交換が重ねられ、同省のウェブサイトを介して熟議≠熏sわれてきた。
 「教育の情報化ビジョン」では、情報活用能力を育成することは、必要な情報を主体的に収集・判断・処理・編集・創造・表現し、発信・伝達できる能力等を育むことで、「生きる力」に資するもの。また、二十一世紀にふさわしい学びは、情報通信技術を活用して、一斉指導による学び、個別学習、子ども同士が教え学び合う協働的な学習で、具体的には子どもたちの情報活用能力の育成、情報通信技術を効果的に活用した分かりやすく深まる授業の実現等、教職員が情報通信技術を活用した情報共有できめ細かな指導を行うこと、校務の負担軽減等を通して教育の質の向上を目指すとしている。この中では情報モラル教育の充実、デジタル教科書の開発、校務支援システムの普及、クラウド・コンピューティング技術の活用等を挙げており、また研修の充実など教員へのサポート体制の整備にも言及している。
 同懇談会は当初の予定では三月中に「教育の情報化ビジョン」の検討を終える予定だったが、三月十一日に東日本大震災が発生、インターネット上で流言飛語が流れたほか、学校が避難所となる中で、改めて情報通信技術の安全で適切な活用の重要性、情報通信環境の整備の必要性が再確認されたことからそうした文言が追加された。四月十五日に行われた同懇談会最後の第十二回会合では、新井紀子・国立情報学研究所社会共有知研究センター長が、大震災で学校ウェブサイト用のサーバーが被災し、迅速・的確に必要な情報提供ができなかった反省からクラウドを利用したリスク分散型の情報化推進を提案。また別の委員はソーラーパワーによる電源確保、情報経路の複数確保等の必要性を指摘していた。


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