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記事2011年5月3日 2204号 (1面) 
私大団体連日短協 電力需給問題に関する研究協議会開催
今夏の電力事情「楽観視は危険」早稲田大岩本教授
大停電への備えや節電対策など紹介

 東日本大震災による福島第一原子力発電所の被災等により、東京電力管内の電力供給が落ち込むなか、今夏の大学における節電対策などをテーマとした「電力需給問題に関する研究協議会」が四月二十八日、東京・市ヶ谷の私学会館で開かれた。日本私立大学団体連合会と日本私立短期大学協会、私立大学災害対策特別委員会の主催。
 東電管内では、大学も昨夏ピーク時より二五一五%程度の消費電力削減が求められており、同管内の大学関係者の関心も高く、約二百五十人が参加した。
 早稲田大学先進理工学部電気・情報生命工学科の岩本伸一教授は、電力需要の増加で大規模停電が起きるメカニズムを説明。今夏の電力事情について、休止火力の再稼働や揚水発電など、従来とは供給力の質が違う点を挙げ、供給能力を楽観視するのは危険だと指摘した。
 こうした状況下では、大学は、節電に加え、急に大停電が起こった時に備えた準備、エレベーターが停止した時の対応、非常用電源の動作点検、学生が帰宅できなくなった場合の水・食料の確保などの対策を立てるよう促した。
 早稲田大学大学院先進理工学研究科の林泰弘教授は、西早稲田キャンパスで実際に行っている節電対策を紹介した。
 ピーク電力削減計画の立案方法として、@実行可能な直接的節電対策案(照明の間引き点灯、エレベーターの間引き運転、エアコンの輪番運転等)を列挙A今夏前に、列挙した節電対策を試験的に実施し、削減電力を評価B二〇一〇年のピーク電力から、節電による削減電力分を差し引き、ピークから何%削減可能かを推定C目標値以上削減できない場合は、さらに新たな直接的節電対策を準備―という手順を紹介。この手順に沿って、削減計画を立て実行したところ、廊下の照明消灯、部屋の蛍光灯の部分的消灯など照明の消灯はかなりの効果があったこと、理工系キャンパスでは、共用が可能な実験設備の一部使用停止や、大型実験設備を用いた研究時間の早朝や夜へのシフトは効果が高いことなどを報告した。
 また、どのくらい電力が削減できているかディスプレーなどで表示する「見せる化」や、節電の呼び掛けなどの間接的対策は、節電意識の向上や持続効果のみならず、エネルギーと環境に関する学生への教育効果も高いと述べた。
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