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記事2011年5月3日 2204号 (1面) 
学校では照明の節電が効果的
国研がシミュレーション公表
電力使用大半は校舎照明 節電項目ごとの推定節約率算出
 福島での原発事故や静岡での原発停止等を受けて、電力消費がピークを迎える今夏は厳しい節電が求められているが、国立教育政策研究所文教施設研究センターは、五月九日、学校施設の節電対策に関してシミュレーションによる節電項目ごとの節電効果を公表した。それによると、冷房停止を除いて普通教室の窓側照明の消灯(二分の一消灯)の節電効果が最も高いことなどが分かった。

 このシミュレーションは、同研究センターが学校の電力使用に関する実態調査結果と同センターが開発した「学校施設のCO2削減設計検討ツール」(FAST)を使い行ったもの。
 学校における用途別の電力使用割合(夏期)は、学校の電力使用実態(東京電力調べ)に同センターの調査データを加味して算出したものだが、上の円グラフのように、普通教室では冷房の有無に関係なく校舎の照明が電力消費全体の大半を占め、空調関係の占める比率は、普通教室に冷房ありの学校で二一%にとどまった。ただしこれは電気式冷房の場合で、ガス式の場合は当然ながら、冷房を止めても節電効果はほとんどない。
 節電項目別に推定される節電率をみると、冷房以外では普通教室の窓側半分の照明を消した場合で約一七%(給食室なし、以下同様)、トイレの照明を完全に消灯した場合で約一四%、普通教室の照明を三分の一消灯した場合で約一一%、特別教室の照明を二分の一消灯した場合で約七%、そのほか、管理諸室・特別教室の冷房を止めた場合(全特別教室に冷房設置)で約八%という結果だった。
 こうした節電率の推計は、標準的な片廊下型校舎、使用時間は中学校で八時〜一六時三十分、管理諸室は八時〜二〇時まで、土日祝日は休み、夏期休暇は七月二十日から八月三十一日、体育館、プール、校庭の照明は含まない、冷房設定温度は二八度などといった条件で行ったもの。
 一方、節電効果の留意点に関しては四点を挙げている。@校舎は他の建物より窓が大きく設計されているため、雨天・曇天・夕方以外は教室の照明を部分的に消しても学校環境衛生基準が定める教室の照度(下限値三百ルクス、五百ルクス以上が望ましい)を確保できるA一般的に教室の照明用スイッチは系統別にオンオフできるようになっているため、その機能を活用して部分的に消灯できるB冷房設備には電気式とガス式があるので、どちらかを確認する必要があるC電力使用量はその日の天気や気温等によって変動するので、節電対策を検討する際はこのような変動に対する余裕を見込んでおくことが必要――としている。
 東京電力管内(一都七県と静岡県の一部)の国公私立幼稚園・小学校・中学校・高校一万三千九百十校のピーク時の電力使用量は約百五十万KWで、東京電力全体(約六千万KW、昨年値)の約二・五%に相当する。学校における電力使用のピークは七月、正午から午後一時となっている。


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