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記事2011年5月23日 2205号 (0面) 
新校長インタビュー(229)
桐朋女子中学・高等学校 校長 河原 勇人氏
口頭試問は 考え方の筋道が大事
毎日の学習の積み重ねが重要

 「桐朋女子の教育は入学試験から始まる」という言葉は桐朋女子中学・高等学校(東京都調布市)の合言葉だ。昨年四月、同校の校長に河原勇人氏が就任した。同校は「人間を数値で差別化する偏差値に振り回されっぱなしの入学試験は一人一人の個性を大切にする本校の教育方針になじまない」(河原校長)という考えで、入学試験は口頭試問を軸に、筆記試験を併用している。
 口頭試問という入試では、「誤答を書いてしまったことよりも、間違いに気づき、そこから正しい筋道で自分の考えが述べられるかどうか、正答につながる考え方を組み立てられるかどうか、そのことの方が大事です」と河原校長は語る。
 このユニークな口頭試問は受験をする側にとっては、なかなか準備がしにくいところがある。同校では、成長する若者にとって、何事に対しても考え、理解し、自分の意見を持つこと。次になぜそうなるのかを考え、理解したことを表現できることが大切であると考える。
 この生徒を大事にする考えは、同校には通知表がないところにも表れている。能力を数字だけで示すのでは不十分だと考えており、「学級担任連絡票」によって、教科担当が生徒本人の評価や課題を担任に伝え、担任はそれを用いて生徒や保護者との面談を行っている。
 「テストはレントゲンです。レントゲンは人間の目に見えない病気を写し出し、治療が始まります。テストもこれと同じで、普段の勉強で気づかない欠点や、理解の不十分なところを発見するよい機会なのです」と河原校長は、生徒たちに対して、毎日の学習の丁寧な積み重ねの重要性を指摘している。
 カリキュラムは、Aブロック(中学一・二年)、Bブロック(中学三年、高校一年)がバランスよく時間配当がなされ、Cブロック(高校二・三年)が大幅な自由選択制を採用している。
 桐朋学園は昭和十六年の創立以来、生徒の人格を尊重し、個性の伸長を図る「人間教育」を根底に据える教育を行ってきた。この方針に基づき、知性と感性のバランスの取れた教育内容を目指していく方針だ。
 河原校長は福岡出身。専門は国語で、古典、特に中古文学に興味を持っているという。
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