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記事2011年5月23日 2205号 (1面) 
医学部入学定員在り方検討会
医学部入学定員在り方検討会 大学関係者から聴取 定員増をめぐり賛否
鈴木寛副大臣「論点見えた」
文部科学省の「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会」(座長=安西祐一郎・慶應義塾学事顧問)は五月十三日、同省内で会議を開き、大学関係者等からのヒアリングを行った。医学部定員増について賛否双方の立場から意見発表が行われた。
 岩手医科大学学長で全国医学部長病院長会議顧問の小川彰氏は「医師養成増は医療崩壊を救うか」と題して意見発表を行った。小川氏は、医学部定員抑制時と、今年度の定員数を比較して、千二百九十八人増えており、十四大学を新設したのと同義であると指摘。医師養成増を急激に進めると、医師過剰状態に到達するとともに、養成増の環境整備には膨大な先行投資が必要であり、一度増やした定員はなかなか削減できない現状があるとして、医学部定員増・新設ではなく、医師の地域間・診療科間偏在の是正システムを議論すべきだと結論付けた。
 一方、東京大学医科学研究所特任教授の上昌広氏は、医師数の「西高東低」状態や、医師の偏在と医育機関の偏在とは関連性が強いことなどを指摘。現状で医師の総数は不足、偏在しており、今後、医師不足地域で高齢者の死亡が急増することや医師一人当たりの労働時間等から考えれば、不足地域に医育機関を新設することは、問題解決の一つの方法であると主張した。
 この日の会議に出席した鈴木寛文部科学副大臣は「何が論点であるか見えてきた。それを補足するエビデンスを集めるとともに、コストを国民に分かりやすく示していく必要がある」と述べた。


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