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全私学新聞

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記事2011年4月3日 2200号 (1面) 
全私学連合 拡大会長会議を開催
私学にも国公立と遜色ない支援を
私立学校の復興 白井代表 
政府・与党に要望 特別立法にも対応

 大学から幼稚園までの私学五団体で組織する全私学連合(代表=白井克彦・日本私立大学団体連合会会長)は三月二十九日、東京・市ヶ谷の私学会館で東日本大震災への対応等を協議するため拡大会長会議を開催した。

 会議では初めに、文部科学省の河村潤子・高等教育局私学部長が私立学校の人的・物的被害等の最新状況と政府・私学部の対応動向に関して報告、その後、全私学連合や各私学団体の対応状況等が事務局と各団体会長から報告された。東日本大震災による人的・物的被害状況等に関して同省では、刻々、最新情報を公表しているが、この日の会議では、三月二十八日十九時現在の状況が報告された。
 それによると(福島県内の私立幼稚園八園の被害状況は未確認)、私立学校の人的被害は、大学・短期大学関係で学生が百四十四人、教職員は十二人で、このほか約二万五千人の学生の安否を確認中としている。また高校から幼稚園関係の人的被害は生徒・園児等が五十二人(死亡三十八人、行方不明八人、軽傷六人)、教職員が六人(死亡三人、行方不明一人、軽傷二人)となっている。
 物的被害を受けた私立学校は大学・短期大学で百六十七校(大学百三十五校、短大三十二校)、高校から幼稚園では七百九十一校(幼稚園五百七十五校、小学校十六校、中学校四十八校、高校百四十六校、中等教育学校三校、特別支援学校三校)。
 三月二十八日現在、休校中の学校は大学から幼稚園まで合わせて二百十七校にも及んでいる。
 さらに石巻専修大学、郡山女子大学、北里大学海洋生命科学部など大学五校、高校二校、幼稚園九園が避難住民を受け入れている。
 全私学連合では大震災三日後の三月十四日に緊急事務局長会議を招集、その後も同省私学部と協力し、情報収集等に努めており、同二十四日には白井代表が吉田おさむ・衆議院災害対策特別委員長、松崎哲久・民主党政策調査会文部科学部門会議座長、谷岡郁子・民主党政策調査会副会長(文部科学担当)、清水潔・文部科学省事務次官等に緊急要望書を提出している。
 緊急要望とは、私立学校でも多くの学校やその園児・児童・生徒・学生が多数被災していること、私立学校としては復興のための努力を積極的に行う考えで、地域の振興拠点、文化や歴史の継承拠点としての私立学校の復興に関しては、国公立学校の復興・支援と遜色のない国の施策を――という内容。
 まだ遺体の捜索等が続けられており、福島第一原子力発電所の放射性物質漏れ事故も予断を許さない状況では、被災者や被災校への具体的支援策等を打ち出しにくい情勢ではあるが、与党・民主党では岡田克也幹事長を委員長とする「地震災害復旧・復興検討委員会」を立ち上げ、特別立法、歳出見直し、復興ビジョン、補正予算の四つの検討チームを設置し検討を続けている。
 このうち「東北関東大震災復旧・復興特別立法チーム」については中川正春・衆議院議員(前文部科学副大臣)を座長に検討を続けており、四月中旬には特別立法に関する検討結果を取りまとめる予定。国公立学校の復興・支援と遜色のない私立学校の復興支援には特別立法が必要となると思われるが、復旧・復興に向けた特別立法は今国会中に提出される見通し。特別立法が政府提出法案になるのか、議員立法になるかは現時点では未定となっている。
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