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記事2011年4月23日 2202号 (1面) 
福島原発対応で政府が暫定的考え方提示
空間放射線量が毎時3.8マイクロシーベルト以上なら屋外活動は1日1時間に制限
13校・園が目安値以上 「以下なら平常通りで」と-文科省再調査
 東京電力の福島第一原子力発電所での放射性物質漏れ事故は依然、収束の見通しが立たない状況だが、政府の原子力災害対策本部(本部長=菅直人総理大臣)は、原子力安全委員会の助言を受け、四月十九日、「福島県内の学校等の校舎、校庭等の利用判断における暫定的考え方」を取りまとめた。これを受けて文部科学省は福島県教育委員会や知事等に暫定的な考え方を通知した。






 政府がまとめた学校の校舎・校庭等の利用における暫定的な目安とは、空間放射線量が毎時三・八マイクロシーベルト以上が計測された学校等については、「当面、校庭等での屋外活動を一日当たり一時間程度に制限する」ことが適当というもの。
 この目安は、国際放射線防護委員会が、非常事態が収束した後の一般公衆の参考レベル値(これを上回る放射線量は不適切とされる数値)としている年間二〇ミリシーベルト(上限)を、児童生徒等の、十六時間の屋内(木造)活動、八時間の屋外活動という生活パターンから算出したもの。
 福島県が行った環境放射線モニタリングの結果(四月八日)で、毎時三・七マイクロシーベルト以上の線量があった五十二校・園を対象に、文部科学省が四月十四日に再調査したが、そのうち十三校・園(幼稚園二、保育所一、小学校六、中学校四、児童生徒等約三千五百人)で毎時三・八マイクロシーベルトの目安値以上が計測されており、最も高い数値の学校では毎時五・六マイクロシーベルトだった。これらの学校の中には私立学校も含まれている。毎時三・八マイクロシーベルト未満の空間線量率だった学校等については平常通り校舎、校庭等を利用して差し支えないとしている。
 今後は、おおむね一週間ごとに放射線量の調査を行い、毎時三・八マイクロシーベルトを下回り、翌日以降の再調査でも目安値を下回った場合は、平常通り校舎・校庭等を利用して差し支えないとしている。高校や専修学校・各種学校についても「暫定的な考え方」を参考に配慮されることが望ましいとしている。数値が低下しない学校等については国が校庭・園庭の土壌調査を実施することも検討するとしている。
 この暫定基準は夏季休業終了(おおむね八月下旬)までのもの。その後に関しては見直す予定。
 政府は、児童生徒等の被ばく量をできるだけ低く抑えるため、以下の五つの生活上の留意点を挙げている。@校庭・園庭等の屋外での活動後には、手や顔を洗い、うがいをする。A土や砂を口に入れないように注意する(特に乳幼児は、保育所や幼稚園において砂場の利用を控えるなどの注意が必要)。B土や砂が口に入った場合には、よくうがいをする。C登校・登園時、帰宅時に靴の泥をできるだけ落とす。D土ぼこりや砂ぼこりが多い時には窓を閉める。


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