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記事2011年4月13日 2201号 (3面) 
東日本大震災 宮城県石巻市の被災状況を取材
市街地に膨大な瓦礫 各地でボランティアによる 炊き出し
 三月十一日の東日本大震災から約三週間たった四月二日、全私学新聞編集部二人が東京・新宿発の深夜バスで仙台入りし、三日早朝、宮城交通の臨時バスに乗り換えて、石巻市に到着、私立学校の被災状況や市内の状況を見て回った。(編集部)

 仙台市から約五十キロ北東方面に位置し、太平洋に面する石巻市の被害状況は、海や川に近いほど津波の影響が大きく被害は甚大だった。またその後、発生した火災により大きな被害が生じた。大震災から約三週間が経過したため道路上の瓦礫は、車の通行路を確保するため道路の両端に寄せられてはいたが、瓦礫の量は膨大で、至る所に流され無残な姿となった車が転がっていた。また遠目から見るとあまり被害が見えない住宅でも、近づくと一階部分を濁流が襲ったため、室内に瓦礫が散乱する状況で、生活するのは難しい状況だ。しかし地域によっては少しずつ瓦礫の撤去が始まっており、旧北上川横の空き地が瓦礫の集積場となっていた。瓦礫は至る所にあり完全に整理がつくまでは相当な時間が必要だと思われる。
 また市内では自衛隊のほか、瓦礫の運搬などに当たる米軍車両を数多く見かけた。市内ではガス、電気、水道の復旧ができていない状況。JR石巻駅前に立つ市庁舎には災害対策本部が置かれていたが、市庁舎自体も建物最上部に複数亀裂が見えた。
 そうした中にあって被災者を支援するボランティア団体は指定避難所だけではなく、大きな被害を受けた団地、一戸建ての並ぶ住宅地、JR石巻駅前広場などで炊き出しを行うなど支援活動を展開しており、被災者の大きな支えになっていた。(※本紙ではボランティア団体のご厚意で支援活動に同行させてもらい、市内を見て回った)
 一方、仙台市内も沿岸部ほど深刻な被害状況。市内では水道や電気に比べてガスの復旧が遅れており、営業休止中の飲食店が多く見られた。
 また市内の銭湯には長い行列ができ、入浴するにも二時間近くかかる状況だった。我々が訪れた宮城野区の銭湯にはトルコの救援隊も入浴に訪れ、居合わせた市民から歓迎される一幕も見られた。

 一方、比較的海から離れた石巻専修大学は、大きな被害はなかったため、被災者の避難所、日本赤十字社の救護所などとなっていた。
 グラウンドにはボランティアが持参したテントが数多く設営され、自衛隊の車両、救急車等も複数見られた。被災者の居住場所となっていた四号館のエントランス部分ではボランティアによる炊き出しが行われており、一階部分には安否不明者の情報を求めるメモなどが壁一面に貼られていた。石巻専修大学の正門前を流れる旧北上川には岸辺に多くの漂流物が散乱、複数の魚が打ち上げられていた。大震災などの非常時に学校は被災者の避難場所となるが、それだけに大きな地震にも耐える堅牢な建物が必要で、社会資本である私立学校にもそうした面で手厚い早急な公的支援が必要だと感じさせた。



宮城県石巻市で撮影

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