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記事2011年3月23日 2199号 (2面) 
大阪府23年度振興助成費削減率前年度と同率に
府議会が予算案を修正
削減率の引き上げ「学校運営に支障来す」と
 大阪府の平成二十三年度一般会計予算が三月十六日に決まった。
 橋下徹知事が府議会に提出した二十三年度当初予算案に関しては、「私立高等学校等振興助成費」のうち、私立小学校と私立中学校に対する削減率が平成二十二年度よりも引き上げられており(※平成二十二年度‥私立小学校二五%減、私立中学校二五%減↓平成二十三年度‥私立小学校五〇%減、私立中学校三五%減)、さらなる削減で学校運営に支障を来たすとして、大阪維新の会大阪府議会議員団を除く全ての会派が反対、紛糾していた。
 三月十五日には吉田利幸・自由民主党幹事長ら府議会議員十人が私学助成の削減率を平成二十二年度と同率にとどめることを求めた修正動議を府議会議長に提出、十六日未明、大阪維新の会大阪府議会議員団を除く全ての会派が賛成し修正案が可決されるという結果になった。
 ところが橋下知事はそれを不服として、地方自治法第一七六条第一項の規定に基づき、再議に付した。橋下知事の主張は、「府の役割から見た施策の選択と集中の観点から単価の削減率を引き上げることとしたもの。私学法人は、(私立高校の専願率の大幅な上昇により)多くの授業料収入と高校経常費助成を受けることができ、法人経営面でプラス要素となる」などというもの。
 しかし修正案は議会の三分の二以上の賛成で再可決され、予算の修正が確定した。
 橋下知事が重点事業としている「私立高校生等修学支援事業」は、別掲の通り、当初の計画から変更はなく、年収六百十万円未満世帯の生徒までは授業料を無償化、年収六百十万円から八百万円未満世帯までは保護者の授業料が年額十万円となるよう制度の拡大が図られる(新一年生から適用)。
 一方、私立高等学校等振興助成費については、国の標準単価と大阪府公立学校の標準教育費の二分の一のいずれか低い方を単価に、削減率(私立高校一〇%減、私立小・中学校二五%減)を乗じて算出する。それによると、平成二十三年度の生徒等一人当たり補助単価は、高校が二十七万七千九百二十四円、中学校が二十万三千二百十二円、小学校が十七万三千七百七十五円となる。
 平成二十三年度の予算の配分に当たっては、頑張る学校、成果を挙げた学校に重点配分する考えを橋下知事は既に表明しているが、その配分については現在、検討が進められている段階。公立学校でも同様な措置が取られることから、公立学校との整合性が図られる予定。これとは別に私立幼稚園に関しては教育・子育て環境の充実、ガバナンスの向上のため経常費補助金の配分基準の検討が行われている。
 また新規事業としては、大阪府内の公立高校、私立高校、私立高等専修学校を対象に「TOEFL iBT」の獲得スコアが、ベーシングスコア(基準点、検討中)を上回る学校を三区分に分け、実践的英語教育の充実に要する経費を対象に助成金を交付する。事業総額は五億円で、そのうち二十三年度は一億円、二十四年度は四億円。詳細は今後制度設計される。


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