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記事2011年3月23日 2199号 (1面) 
幼稚園施設に大きな被害-東北地方太平洋沖地震
岩手、宮城、福島、茨城、千葉県被害状況を調査
私立学校施設被害全国1054校に 全壊、園舎流出も

 宮城県は石巻市や南三陸町など沿岸部を中心に甚大な被害を受けた。
 私立学校の被災状況と今後の対応については、教育委員会のホームページを間借りする形で情報提供されている(随時更新)。三月二十一日十六時までの時点では、仙台育英学園高校(仙台市宮城野区)では宮城野校舎が使用不可になり、通信制課程以外の全日制全生徒は多賀城校舎(若干の修繕が必要)を使用、聖ドミニコ学院高校(仙台市青葉区)は四階の壁に亀裂、コンクリートむき出し等で使えない状況。安否の確認が取れない生徒が十数人いる。東北工業大学高校(仙台市太白区)では武道館の天井が落下、本館にひび等、本館の三、四階は立ち入り禁止、建て替えか補修かを検討することにしている。気仙沼女子高校(気仙沼市)では三月十七日十時二十分現在、電話が通じないが、体育館の天井の支柱二十本が落下、建物にひび、倒壊の恐れはない模様だ。その他の高校や中学校、小学校も程度の差こそあれ被害を受けており、多くの学校で終業式は中止、未定などとしている。
 幼稚園に関しては、学校数が多く、沿岸部にも点在することから大きな被害を受けた。あさひ幼稚園は津波によって園舎が流失、葦の芽星谷幼稚園は津波によって全壊、石巻みづほ第二幼稚園は津波にのまれ、建物に浮遊物等が堆積、園舎は骨組みのみ。なとり幼稚園、なとり第二幼稚園とも建物は無事だが、内部は壊滅状態だという。そのほか降園中通園バスが津波に巻き込まれ、その後火災に巻き込まれた(日和幼稚園)、園舎一部破損、床上浸水、幼稚園バスが送迎中に津波の被害に遭った(ふじ幼稚園)ケースも見られる。
 福島県に関しては、ホームページで私立学校施設の被災状況を掲載はしていないが、県私学法人課に確認したところ、三月十七日十五時現在で、小学校では一部破損が一、中学校では一部破損が六、建物外の被害が二、高校は一部破損が十八、建物外が六、専修学校では一部破損が二十四、建物外が九、幼稚園では全壊が一、半壊が一、一部破損が五十一、建物外が十四などの被害状況で、また東京電力福島第一原子力発電所での放射性物質漏れによる避難地域の中にも私立学校はあるという。
 岩手県では現時点では詳細は不明だが、幼稚園などでは連絡のつかないところがあり、周辺の園や教員等から情報収集などを進めている。沿岸部の幼稚園に関しては特に大きな被害が生じている模様だ。
 どの県でも電話など通信環境の回復が遅れていること、ガソリンがなく、また道路事情も極めて悪いことなどから確認作業は厳しい状況のようだ。
 茨城県の総務課私学振興室では私立学校の被害状況を調査中だが、人的被害や施設の被害に関しては甚大なものはない模様だ。
 千葉県では旭市など沿岸部で被害が大きかったが、校舎の全壊といった甚大な被害は免れた模様だ。それでも天井の落下、壁に亀裂、ガラス破損等が見られ、浦安市や千葉市など埋め立て地域では液状化現象が起きている。被災校は高校で二十二校、幼稚園で九十三園。
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