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記事2011年3月13日 2198号 (2面) 
中高一貫校が実践報告
次回以降、審議まとめ整理作業へ
初中分科会学校段階間の連携・接続等作業部会
 中央教育審議会初等中等教育分科会の学校段階間の連携・接続等に関する作業部会(主査=小川正人・放送大学教授)の第四回会合が三月三日、東京・霞が関の文部科学省で開催され、「中高一貫教育校における異年齢集団の活動や教職員の負担への対応等」を議題に、@一貫校生徒による一貫教育に関する評価・結果(2)―自由記述の分析、A中高一貫教育校における異年齢集団の活動や教職員の負担への対応などが報告されたほか、事例としてB名古屋大学教育学部附属中・高等学校と長崎県立佐世保北中学校・高等学校から報告が行われた。
 @の評価・結果では、中高一貫教育校の在校生と卒業生を対象に調査を行い、自由記述の形で回答してもらいそれを分析したところ、中高一貫教育の魅力としてトップに挙げられた「受験がない」ことは、同時にそこでの学習や自己研さんが期待されているとしている。また時間的なゆとりにも魅力を感じている。彼らが期待していたゆとりが作り出す人間関係の豊かさは、同時に人間関係の複雑さをもたらし、不安定さを引き起こしていると考えられる。制度導入時に期待されていた、異年齢間の交流は一定の効果が示された。人間的成長については総じて肯定的であった。一方で、中高一貫教育の内容の独自性が十分に見えていない、などと分析している。また、教員養成方法に中高一貫に対応するものがないなどと指摘した。
 Aのうち中高一貫教育校における異年齢集団の活動については、「異年齢交流」を最も重視しているのは国立で、次いで公立、私立の順だった。また、中高一貫教育校に対する教職員の加配状況等については、一貫校設置都道府県四十四のうち十九が加配を行っているとしている。
 事例報告では、名古屋大学附属中・高等学校の山田孝・中学校副校長が、中高一貫校のメリットは六年間の発達成長を見通せること、系統的指導、異年齢交流、上級生が下級生の面倒をよく見ることなどを挙げた。デメリットとしては人間関係の修復が困難な場合もあること、中だるみ等を挙げた。
 また長崎県立佐世保北中学校・高等学校の西川晃二副校長は、授業力向上の取り組みとして「提案授業」という形で授業公開を行い、各教科の半数が授業を公開することにより、共有できる新しい指導法や教材を提案しているとした。このほか佐保北転任者研修プランで転任教員の研修を行っていること、佐世保地区中高連携作業部会を立ち上げ新入生が円滑に高校生活をスタートさせるための情報連携を行っていることなどを報告した。
 同連携・接続等作業部会は次回以降、整理作業に入るとしている。
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