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記事2011年3月13日 2198号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
特別部会と有機的連携
部会長に安彦忠彦早大教授が就任
初等中等教育分科会教員養成部会
 中央教育審議会は三月九日、東京都内の会館で初等中等教育分科会・教員養成部会を開いた。
 今年二月に第六期中教審が発足して以降、初の教員養成部会。部会長には安彦忠彦・早稲田大学教育・総合科学学術院教授(特任)が、部会長代理には無藤隆・白梅学園大学教授が選任された。
 安彦部会長は、教職課程の質的向上について原理的包括的議論の必要性を指摘、中教審総会直属の組織として設けられている「教員の資質能力向上特別部会」と有機的につながるようにしていきたいと語った。
 会議の前半は、大学の教員免許課程の認定制度、教職課程認定大学の実地視察、中教審答申「今後の教員養成・免許制度の在り方について」(平成十八年)、中教審特別部会の審議経過報告「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について」、教職実践演習、教職実践演習の進め方等、教員免許更新制、教職大学院制度の概要など教員養成等をめぐる現状等が文部科学省から説明された。
 このうち教員免許更新制に関して、平成二十三年度の教員免許状更新講習のうち必修領域(十八時間)の講習については、全国的にはニーズを満たすだけの数量が確保されているが、地域によっては開設される講習数が受け入れ予定数を下回っている地域もみられることから、そうした地域には同省が講習枠の拡大を指導していることなどが報告された。その後は、同部会の新任委員を中心に教員養成等に関する課題への意見発表が行われた。このうち無藤部会長代理は、教員養成だけで(教員の資質向上を)一〇〇%求めることは現実的ではないとし、現職研修などの重要性を指摘したが、その際、各学校での校内研修に対するサポートを充実するため、トレーナーの資格化やトレーナー自身の研修、一貫教育の広がりを受けて隣接する教員免許を取得する教員が増えていることから、そうした免許取得へのサポートの必要性等を指摘した。
 このほか、別の委員からは、期間延長の必要性が指摘されている教育実習に関しては、大学学部四年間の中で行うことは難しいことから、教員採用後、担任を持たせない形で初任者研修と結び付けて実施してはどうか、といった意見や、(教員の養成・研修等に関して)大学と教育委員会の関係の在り方を検討すべきだ、またかつての教員バッシングの時代から国民の教員に対する目が変わったことから、そうしたことに沿った議論の必要性を指摘する委員もいた。最後に意見を述べた安彦部会長は、「教科書を教える時代ではなく、教科書で教える時代に入る。教員の力量を育てることが大事。大学生も教職をオプションとして軽く見ないでしっかり考えてもらいたい」と語った。また文部科学省の山中伸一・初等中等教育局長は、急速にグローバル化、情報化が進む中で、日本人の教育はいかにあるべきか問い直す必要がある、大きな視点で議論してほしいと語った。
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