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記事2011年3月13日 2198号 (1面) 
東北地方太平洋沖地震 東北・関東に甚大な被害
沿岸部を中心に壊滅的状況
13日正午現在私立学校290校も被災
 平成二十三年三月十一日午後二時四十六分頃に発生した「東北地方太平洋沖地震」は、我が国観測史上最大の地震となり未曾有の被害をもたらした。町全体が大津波により消失するなど壊滅的な被害状況が連日テレビ等で報道されているが、国公私立学校でも大きな被害が発生している。被害の全貌や詳細はまだ不明だが、文部科学省が三月十三日正午現在でまとめた情報によると、物的被害を受けた国公私立学校施設は千十三校を数え、うち私立学校は二百九十校に及ぶ。

 今回の地震、津波等によって行政機能が著しく低下あるいは喪失した自治体が多数あるため、現時点で状況把握は難しいが、今後、時間の経過とともに児童、生徒、学生等の被災状況、学校施設の損壊状況も徐々に明らかになる見通しだ。
 東日本を襲った今回の地震で被害を受けた一都一府一道十七県で物的被害を受けた学校施設は、三月十三日正午現在、国立学校で四十四、公立学校で六百八十、私立学校で百九十三を数えた。
 被害を受けた私立学校施設の内訳は、幼稚園が百十六、小学校が一、中学校が十五、中等教育学校が二、高校が七十二、特別支援学校が一、大学が三十四、その他が四十九となっている。
 児童生徒や学生で死亡あるいは負傷した数は現時点では把握することは難しい状況だが、午後三時前に地震が発生したことから、学校に取り残された生徒や下校中に被害に遭った生徒もおり、福島市の福島学院大学では校舎二階が潰れるなどの被害が発生している。
 地震直後から多くの学校は被災者の受け入れ先となっている。震源地から遠く離れた東京でも地震により交通機関が全面的まひに陥り、帰宅困難者が駅などに集中、動き出した一部交通機関は大混乱となった。また卒業式中に会場の九段会館の施設の一部が崩落、私立専門学校の教職員二人が死亡するという事故も発生している。
 首都圏にあふれた帰宅困難者には公共施設とともに、大学等が施設を開放、休息の場を提供した。私立大学では、例えば帝京平成大学では池袋キャンパスの沖永記念ホール(千人収容)を、青山学院大学では青山キャンパス講堂(千八百人収容)を、早稲田大学では早稲田キャンパス大隈講堂を開放した。
 このように今回の東北地方太平洋沖地震(三月十二日には長野県北部でも最大震度6強の地震が発生)は、東日本の広範囲にわたって甚大な被害をもたらしたため、政府は三月十二日、当該災害を「激甚災害」(全国を対象とする「本激」)に指定することを閣議決定、翌十三日に公布した。
 激甚災害に指定されると、災害復旧事業等について通常の国庫補助のかさ上げが行われる。今回、適用される十八の措置の中には「私立学校施設災害復旧事業に対する補助」も盛り込まれており、今後、被災した私立学校施設の復旧工事に関しては、財政支援措置が取られることになる。
 また文部科学省は三月十一日十九時に全国の国公私立の全大学病院に対してDMAT(災害派遣医療チーム)の派遣を要請、三月十三日七時三十分現在で、私立医科大学を含め五十七大学から三百三十四人の医師や看護師らが福島県立医科大学病院、つくばメディカルセンターなどで医療活動を開始している。
 さらに地震が発生した三月中旬は大学等の入学試験時期だが、三十以上の大学が試験の延期等の措置を取っている。


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