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記事2011年2月3日 2194号 (2面) 
第5期最後の分科会
教育改革の拙速に懸念の声
教育改革の拙速に懸念の声
 中央教育審議会初等中等教育分科会(梶田叡一分科会長)は一月二十八日、都内のホテルで第七十三回会合を開き、関係する特別部会等での審議状況について報告を受け、審議を行った。このうち教員養成部会に関しては、教員免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程認定(平成二十二年度)状況が報告された。課程認定を行った大学等(福祉の再課程認定を含め)は、百五十一校、課程(学校種・教科)数は六百三。これは申請数を三十六下回る数で、審査の段階で申請を取り下げた大学等も十数校あり、教員の配置等で修正を求めた大学等もかなりの数とも説明。また学科の名称と免許状の種類にかい離がある課程の七、八校に手直しを求めたことなど、教員養成課程の認定の厳格化に取り組んでいる実情等が報告された。また政府内の幼保一体化に関する審議が一月十四日、一定の整理がついたこと、その方向性が文部科学省の濱谷浩樹幼児教育課長から説明された。市町村の首長からは幼保一体化の後退を懸念する声が上がったが、幼保一体化がすぐにでも実施されるという情報のミスリードが問題だとの声も聞かれた。
 この日は、第五期中央教育審議会の最後の初等中等教育分科会だったため、委員は初等中等教育全般にわたり自由に意見発表したが、その中では「現場の教員の厳しい勤務状況を分かってほしい」との声や、「わが市の子ども手当予算は百二十億円だが、給食を全て無償にしても十億円、修学旅行をすべて無償にしても五億円で済む。政府の金の使い方には疑問を感じる」「初任者研修は実践的な指導力育成には効果がある。発展的解消(の検討)はかなり気がかり」「高校の専門学科をもっと充実してほしい」といった意見が聞かれた。また教員の多忙さに関しては複数の委員から「教員の精神的疾患が増えている」「教員自身が多忙の中で自己実現ができているのか」「勤務が忙しすぎて助け合いの精神に欠けている」などといった意見が出された。最後に、梶田分科会長は、初等中等教育は国の根幹であり、教育の議論を一歩一歩進めていく重要性を力説した。
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