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記事2011年2月23日 2196号 (1面) 
第6期中教審が初総会開催
会長に三村明夫氏 ガバナンスの在り方など議論へ
 文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会は二月十五日、東京・千代田区の学術総合センターで第七十五回総会を開催した。

 この日は第六期中教審初の総会で、会長に三村明夫・新日本製鐵代表取締役会長を、副会長に安西祐一郎・学校法人慶應義塾学事顧問、小川正人・放送大学教養学部教授を選任した。
 総会には木義明・文部科学大臣、鈴木寛・文部科学副大臣も出席。この中で木大臣は、教育や文化、スポーツなどの振興が、閉塞感のある我が国の活力、発展の礎となることなどを強調。
 また鈴木副大臣は、高等教育に関しては質の問題、議論が残っており、平成二十三年度、高等教育関係予算がV字回復を果たしたが、財務省からは執行猶予付き≠ニ言われており、また初等中等教育に関しては教育の中身の問題、ガバナンスの在り方が課題として残っていることを指摘、中教審委員には新しい時代を創造する議論をしてほしいと要請した。三村会長は「最後の務め。頑張りたい」などと語った。
 この後、文部科学省から前期中教審から引き継いだ検討課題や新たに検討が必要な事項などが説明され、続いて出席の各委員が、今後検討すべき事項など、教育の現状に対する問題意識や改善すべきポイント等を明らかにした。
 このうち安西副会長は、今後を予測して、グローバルな時代にならざるを得ない、子供たちが飛び込んでいくオープンカントリーへの対応が教育者の責任などと述べ、また小川副会長は教員の質の担保、教員の働き方に関する議論を深める必要性を指摘、教員の勤務実態調査も前回の実施から五年以上経過したことから来年度以降の再調査が必要と語った。
 北城恪太郎・公益社団法人経済同友会終身幹事・学校法人国際基督教大学理事長は、大学教育に関して世界最高水準を目指すというが、最高水準の指標について議論が必要で、また大学卒業後九割はビジネスの世界へ行き、産業界はイノベーションの担い手を求めていることからの質の保証、大学で学部長にどんな権限を持たせ、どう選出するのかなど高等教育のガバナンスについて議論が必要だと指摘した。
 このほか長尾ひろみ・広島女学院大学長は個性的な大学づくりに向けて、教員について何らかのアセスメントやベンチマークの必要性を指摘。
 また宮崎緑・千葉商科大学教授は、現場からの発想として、公立小学校や中学校は市町村教育委員会の管轄だが、その教員の費用は国と都道府県から出ている点や、発注側の教育委員会の委員の中に受注側となる教育長が加わっている点などの仕組みの改革の必要性を指摘した。
 さらに田村哲夫・渋谷教育学園理事長は、教育は国の施策の一部で、国際化への対応は省庁を超えた議論が必要であるとして、若者の意欲をかき立てる方策などの検討の必要性を強調した。
 第六期中教審における当面の審議案件に関しては、教育振興基本計画、教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策、学校段階間の連携・接続等、幼保一体化、特別支援教育、中長期的な大学教育のあり方等を挙げている。

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