こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2011年12月3日号二ュース >> VIEW

記事2011年12月3日 2223号 (2面) 
成績中位層の高校生の学び検討
学ぶ意義や楽しさ伝える重要性の指摘も
初等中等教育分科会高等学校教育部会
 中央教育審議会初等中等教育分科会「高等学校教育部会」(部会長=小川正人・放送大学教養学部教授)は、十一月二十九日、東京・虎ノ門の文部科学省内で二回目の会合を開いた。
 この日は、初会合で検討課題例として提示された四つの課題の内、「個々の生徒の学習進度・理解等に応じた学びのシステムの構築」が議題に取り上げられた。
 具体的には、高校生の内、多数を占める成績中位層の生徒の学びの現状と問題点、学びの阻害要因・問題と、改善のための教育制度・システムの在り方について検討した。成績がトップクラスの高校生や低学力層の高校生については今後、別途、検討する予定。
 高校生の学びの現状・課題に関しては、委員から「学力が職業選択の幅をかなり狭めていることを高校生自身が分かっていない」「学習内容が簡単な中学校から高校に入って学習内容が急激に難しくなる。中学と高校の接続がうまくいっていない」「教育の多様化が価値の多様化等に繋がらず、学習意欲が高まっていない。公立高校では高校生の満足度も高まっていない」「公立高校では決められたものを決められたスピードでやらなければならない。答えを早く教えようとする(教育をしている)」「教師に指導のための十分な時間がない」「高校生の学習時間が少なくなっている。なぜ騒がれないのか不思議だ」といった意見が出された。
 一方、そうした課題を解決する方策等に関しては、「中学と高校の学習の連関性を考え直し、高校の内容の一部を逆に中学校に落とし込んだ方がいい」「学ぶ楽しさや意義を考えられる高校教育が大事だ」「高校生の進路相談の席に企業関係者を加えることは意義がある」「どのステージからも(人生に)大きく夢を求めることができることを生徒に伝えなくてはいけない」「青年期の子どもがどういう問題を抱えているか、成熟の度合い、状況を把握しなくてはいけない」「地域の労働力事情を教育に組み入れるべきだ。また高校中退者が再スタートできる仕組み作りが必要」「じっくりと学校づくりができるよう公立でも校長の人事異動を見直すべきだ」といった提案がされた。今後、同部会では、「社会の要請に応える人材養成機関としての機能の充実」「個々の人格形成の場としての機能の再構築」「科学・技術の進展や産業界との連携等による教育方法等の刷新」について検討する予定。次回は十二月二十七日。
記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞