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記事2011年12月13日 2224号 (3面) 
新校長インタビュー(241)
開成中学・高等学校 校長 柳沢 幸雄氏
教育のゴールに向けて土台作り
得意分野やり続け自信持たせる
開成中学・高等学校(東京都荒川区)の柳沢幸雄校長は「教育のゴールは何かを常に考えています。『世の人に尽くす・自ら律する・自らの足で立つ』ことのできる生徒を育てる教育を目指しています。中学・高校の六年間は生徒の成長過程で大きく変化を遂げるときです。この時期に教育のゴールに向けての土台作りをしっかり行いたいと思います」と基本方針を語る。この方針に基づいて、@知力A徳力B体力C生活力(生育)を、具体的に育てる力として挙げる。
 このうち、知力は授業で身につけさせている。生活力についての要素として、「時間、お金の使い方といった有限なものの管理と、健康、炊事・洗濯・掃除などの日常の管理」を挙げ、「学校と家庭とがともに生徒を育てるという考えを持たなければなりません。将来、いい仕事をできるようになるための最大の要素は生活力です」と強調した。
 同校は進学校として実績を残しているが、決して進学面だけに特化するのではなく、課外活動に積極的に取り組んでいる。これは徳力、体力を培うためだ。同校の伝統の名物行事として知られている運動会は高校三年生が自分たちで自主的に考え、最高のイベントとなるように一年間かけて取り組む。準備と運営に三年生の全員が参加している。また文化祭では、合唱とオーケストラの二つの部が合同で交響曲第九番を発表した。
 「このような課外活動を通じて、生徒は自分の居場所を見つけています。学習と課外活動を両立させて、自分の得意な分野をやり続けて自信を持てるようになると思うのです」。高校三年生の最年少での「日展」(日本芸術展覧会)入選や、俳句甲子園での優勝などの実績が生徒の自信につながっている。
 同校は、人との交わりや、つながりをできるだけ多く体験させるため、
 行事や部活動などを通して中学生と高校生との異年齢交流をできるだけ多く取り入れている。三百一人いる中学一年は九六%がクラブ活動に加入している。
 「人生の中で一番働いている」と言う柳沢校長は東京大学特任教授(工学博士)も兼ねており、週一回は東大大学院で教鞭を執っている。開成中学・高校を卒業後、東大工学部化学工学科を卒業、同大学院卒業。一九八四年以降、米・ハーバード大学で助教授、准教、併任教授を歴任。専門は空気の汚染の研究。生まれは千葉県。
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