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記事2011年10月3日 2217号 (2面) 
日本私立大学協会 留学生担当者会議開催
災害に遭遇した場合の対処法等で事例発表 東日本国際大
 震災で留学生らの避難・帰国等手配
 日本私立大学協会(会長=大沼淳・文化学園大学理事長・学長)は九月二十一日、東京・市ヶ谷の私学会館で、留学生担当者協議会を開いた。三月の東日本大震災時の留学生への対応や、海外研修中の学生が災害に遭遇した場合の対処法など、留学に伴う危機管理を中心に、事例発表等が行われた。
 東日本国際大学(福島県いわき市)からは、松本優梨・国際センター長が、東日本大震災時の留学生への対応について発表を行った。
 同大学は、東京電力福島第一原子力発電所から直線距離で四十数キロ。
 震災直後から、原発事故等による留学生の不安が大きいことや、日本語が十分ではない学生がいることから、留学生全員が一緒に避難できる受け入れ先を探し始めた。幸い、東京都内の大学から学生寮を提供するとの申し出があり、震災発生から三日後には、バスを手配して、留学生とその家族約百四十人を避難させた。
 当初は一時避難の予定だったが、いわき市のライフラインの断絶、原発事故の悪化、本国にいる留学生の保護者からの問い合わせ等から、全員を帰国させる方針を決定。航空券の手配や各大使館への連絡、再入国許可の申請などに奔走した後、震災から十日後までに全員を帰国させた。
 松本氏は、早期避難・帰国の要因として、留学生の住居状況の把握、出席管理、アルバイト管理を徹底して行っていたことが、全員の迅速な安全確認につながったこと、避難受け入れ校との連携で留学生の安全が確保できたこと、法人組織と教学組織、国際センターとの連携がうまくいったこと―などを挙げた。
 また、帰国後も、ホームページや国際電話を通して積極的に情報提供を行った結果、ほとんどの留学生が新学期に復学を果たしたという。松本氏は、今後の課題として、留学生の数を確保しつつ、質を維持することを挙げ、徹底した留学生ケアの継続が、中長期的には、数の回復にもつながる、と締めくくった。
 送り出し側の危機管理の事例として、桜美林大学(東京都町田市)の松戸秀樹・国際学生支援課長が、今年二月にニュージーランド・クライストチャーチで起きた地震時の対応を報告した。
 春休みを利用した約三週間の語学研修に学生十七人が参加、地震発生時にクライストチャーチに滞在していた。全員の安全を確認後、翌日には帰国便を手配し、三日後に帰国させた。
 松戸氏は、研修前のオリエンテーションでグループのまとめ役として任命していたリーダー役の学生が、地震発生時、全員無事との連絡を電話やメールで的確に行ったことが、迅速な安全確認につながったと説明。研修を委託した旅行代理店とのコミュニケーション、迅速な帰国判断、窓口の一本化などを、対応のポイントとして挙げた。
 また、大学を休学して留学していた学生がいたことから、休学届への渡航情報の記述の義務化などを課題として指摘した。
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