文部科学省の平成二十四年度概算要求・要望の大きな柱の一つとなっているのが、学生が安心して学べる環境の実現で、その一環として高校生に対する給付型奨学金事業の創設を要求している。予算要求額は百二億円。すべての意志ある生徒が安心して教育を受けられるよう、低所得世帯の生徒に対して、給付型奨学金を支給する都道府県に所要額を交付する。また特定扶養控除見直しに伴って負担増となる家計に対して給付型奨学金を支給する都道府県についても合わせて対応するもの。具体的には、年収約二百五十万円未満の世帯の高校生（全日制、定時制、通信制）、中等教育学校後期課程、特別支援学校、高専（一〜三年）、専修学校等四十二万五千人に教科書等図書費相当額として一万八千三百円（年額）を支給する。もうひとつが、特定扶養控除見直しに伴う負担増家庭への対応で、公立の定時制、通信制の生徒と特別支援学校高等部の生徒十五万九千人に見直しによる影響額を支給する。定時制の支給額は四千六百円、通信制は三万八百円、特別支援学校高等部は三万七千円（年額）｡一方､大学等奨学金事業も充実を要求しており、前年度比七十億円増の千三百十一億円を要求している。日本学生支援機構による大学等修学支援奨学金事業費は前年度比六百五十二億円増の一兆一千四百三十三億円。この中では無利子貸与では修学が困難な学生に給付型の奨学金（二万一千人分）を新たに設ける。