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記事2011年1月23日 2193号 (1面) 
「大学におけるキャリア教育の原点を問う」テーマに 就業力育成などで意見交換
私大連盟学長会議
 日本私立大学連盟(会長=白井克彦・早稲田大学学事顧問)は一月十八日、東京・市ヶ谷の私学会館で、平成二十二年度学長会議の第二回全体会議を開いた。今回のテーマは「大学におけるキャリア教育の原点を問う」。加盟大学の学長ら約百人が参加し、就業力育成や就職支援などについて意見交換を行った。
 大学におけるキャリア教育については、キャリアガイダンスが設置基準に定められる一方で、大学生の就職難の一因として大学教育と企業のニーズのミスマッチなどが指摘されている。「人材育成に向けた大学への期待」と題して講演を行った鈴木寛文部科学副大臣は、高校関係者や地域の産業界などステークホルダーとのコミュニケーションや大学間連携の必要性を指摘するとともに、大学の機能別分化について「各大学でウエイトの置き方が違う。自身の大学のポートフォリオを考えて、必要に応じて連携、補完、連合を推進してほしい」と述べた。
 続くシンポジウムでは、法政大学キャリアセンター長の藤村博之氏、経済同友会幹事で日新製鋼相談役の小野俊彦氏、教育ジャーナリストで、朝日新聞出版「大学ランキング」編集統括の小林哲夫氏がそれぞれプレゼンテーションを行った後、文科省の河村潤子・私学部長を交えて、質疑応答や意見交換を行った。
 このうち、小野氏は、早期化・長期化の弊害が指摘されている就職活動について、経済同友会として、説明会などの広報活動を卒業前年度の三月以降、選考活動は卒業年度の八月以降とするよう提案したいとの方針を示した。小野氏は、企業が求める人材は「厚みのある教養人」であり「読み書きそろばん」が重要と指摘し「これからは三年おきにいろいろな問題が起こってくる。新しいテーマにぶつかった時に解ける基礎が大学教育でできていればいいと思う」と述べた。
 また、藤村氏は、企業が「即戦力」がほしいと言うと、大学生は「すぐに役立つ能力イコール公的資格」だと誤解していると指摘。大学生が修得すべき就業力は@文章作成力A情報収集・分析・発信力B状況判断・行動力であるとして、これは大学の授業やゼミ、課外活動などで身に付けられるにもかかわらず、多くの教員がそのことに気づいていないと述べた。
 小林氏は、大学生は情報への免疫力が意外に低く、ネット情報をうのみにして振り回されてしまう傾向があるとして、大学でのネットリテラシー教育の必要性を述べた。


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