こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2011年1月23日号二ュース >> VIEW

記事2011年1月23日 2193号 (1面) 
大学法人等 基本金組入額 減少続く
私学事業団 「今日の私学財政」刊行
校舎等の老朽化進む 奨学費への支出拡大
 日本私立学校振興・共済事業団はこのほど、平成二十二年度版「今日の私学財政」を刊行した。私立学校の財務状況に関して、平成二十一年度を中心に平成五年度からの経緯の中で分析した報告書で、大学・短期大学編と高校・中学校・小学校の二分冊。それによると、帰属収入から校舎建て替え等のための蓄えである基本金組入額を差し引いた消費収入から消費支出を差し引いた消費収支差額は平成四年度以降、一度もプラスに転じることなく減少が続いており、基本金組入額も減額傾向が続いている。

 大学法人、短期大学法人、高校法人それぞれの財務状況を見ると――。大学法人とは大学を設置している学校法人を指し、学園内のそのほかの学校も含まれる。短大法人等も同様。
 (大学法人)消費収支状況をみると、平成五年度に三百六十三法人あった大学法人は、平成二十一年度には五百三十六法人に拡大、帰属収入は三六・五%増額、一方消費支出は五五・四%増額した。基本金組入額はこの間、六千七百二十八億円から六千百四十五億円に八・七%減額した。
 また平成五年度から二十一年度の間、資産は七三・二%増加、負債に関しては減らす経営努力が続けられている。減価償却累計額などの要積立額に対する預金等資産は平成十年度まで十分にあったが、平成二十一年度では二兆千百五十六億円の不足状態となっている。
 大学部門をみると、教育研究経費の伸びが特に大きく、その中では奨学費と委託費の伸びが大きく、教育研究・管理経費(減価償却額を除く)に占める奨学費の割合は平成五年度の三・二%から七・二%に拡大、委託費は一〇・四%から一八・三%に広がっている。
 (短期大学法人)短大法人は平成五年度から二十一年度間に二百五十九法人から百二十七法人に減少、二十一年度の帰属収入は五年度の三一%にまで減少している。
 そうした中にあって教育研究経費の構成比率は一六%から二五%に拡大、教育環境の維持・向上に向けた努力が続けられている。
 またこの間、資産も負債も減少しており、減価償却累計額などの要積立額に対する預金等資産は、平成二十年度に不足に転じ、二十一年度、六百八十六億円の不足状態となっている。
 短期大学部門では教育研究経費の消費支出に占める比率が高まっているが、その中の奨学費は大学のように大きな伸びとはなっておらず、わずかな上昇傾向にとどまり、また委託費は減少傾向となっている。
 (高校法人)高校法人は平成五年度の六百二十一法人から二十一年度には六百四十四法人に増加したが、大きな変動は見られない。帰属収入はこの間、二・三%減少、消費支出は一〇・七%増えている。
 その中でも教育研究経費の伸びが大きく、三五・〇%の増額。基本金組入額は徐々に減り、帰属収支差額は二十年度のマイナスから二十一年度にはプラスに転じたが、消費収支差額は依然マイナスのままだ。
 また平成五年度から二十一年度までの間、資産は増額、負債は減額したが、校舎等の老朽化は進んでいる。
 高校部門における奨学費、委託費は大学同様伸びており、奨学費は五年度の十四憶八千万円から約二・五倍にも拡大している。教育研究・管理経費(減価償却額を除く)に占める奨学費は、平成五年度の八・八%から十七・八%に拡大している。
記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞