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記事2011年1月13日 2192号 (2面) 
第3回高校教育の在り方ヒアリング
学校改革の要′黷驕рR人の校長ら
鍵となる教師のモチベーション
 第三回の「今後の高校教育の在り方に関するヒアリング」が昨年十二月十六日、文部科学省の省議室で開かれ、青砥恭・一般社団法人彩の国子ども・若者支援ネットワーク代表理事、鈴木高弘・専修大学附属高校長、原潤之輔・兵庫県立加古川北高校長の三人が、高校教育の現状や改善点などについて意見を発表、その後、同省の笠浩史大臣政務官らとの間で意見交換が行われた。このヒアリングは高校教育の抜本的見直しに向け、鈴木寛副大臣が昨年十一月から適宜開催しているもの。
 初めに青砥氏は、「格差・貧困社会に生きる子どもたち」と題して、家庭での虐待、ネグレクト、貧困といった要因が、子どもの発達に大きな影響を与え、低学力を引き起こし、学校への意欲を失わせ、不登校、中退、貧困化、生活保護を再生産している状況を埼玉県の県立高校を例に挙げ報告した。その上で、不登校や中退した生徒を学校と地域のネットワークに繋ぐ支援と学び直しの重要性、退職教員等の力を借りた補習学級の設置等を提案した。
 続いて専修大学附属高校の鈴木校長は、十三年ほど前に就任した都立足立新田高校長時代に行った学校改革等を報告した。同校は当時、入学者の半数近くが中途退学する、荒れた状態だった。鈴木校長はまず普通科の硬直的で魅力のないカリキュラム、時代に対応できない職業科の内容、教員の、教員による、教員のための学校の改革に着手。その上で、学校周囲の教育資源を発掘し活用、学校の予算を再点検し、教員の特技や能力も活用、教育委員会とも関係を改善、教師がなりふり構わず周辺地域に対して学校PRなどに務めた。ホームヘルパー養成事業や快適な学習環境の準備、校内美化の徹底などもあって、徐々に応募倍率は上昇、五〇・八%あった中途退学率が八年で三・六%までに減少した。鈴木校長は生徒を退学させない、居場所のある学校、柔軟なカリキュラムと魅力ある授業、教員のモチベーションの高さなどが重要だと指摘した。
 加古川北高校の原校長は、教員のやる気が学校を変えること、時間の空いている教員を校長室に呼んではプロの教師育成を進めたこと、徳育を重視したこと、キャリア教育がモチベーションの高い生徒を作ること、地域に学校情報を積極的に発信することで学校の立て直しを図ったことなどを報告した。
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