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記事2010年9月13日 2181号 (1面) 
大学等の無利子奨学金大幅拡充
文部科学省平成23年度概算要求
国私大の授業料減免76億円増 免除率は国私間で4倍強の格差
 文部科学省は、来年度、政府の新成長戦略、民主党のマニフェスト等を踏まえて、特に無利子奨学金について、貸与基準を満たしながら貸与を受けられない者二万六千人の解消など抜本的拡充を図る方針だ。そのための予算として前年度比百三十七億円増の千四百五十九億円を財政当局に要求しており、同時に国立大学と私立大学の授業料免除者の拡大も図る意向で国立大は免除率を八・四%に、私立大は約二・〇%に引き上げる意向。そのための予算として三百十二億円を要求中だ。

 文部科学省は、大学生等への奨学金は独立行政法人日本学生支援機構を通じ行っているが、来年度は奨学金の貸与人員を今年度の百十八万人から十二万四千人増やして百三十一万人に拡大する。このうち無利子の奨学金枠に関しては、今年度の三十四万九千人から三十八万六千人へと三万七千人増やす計画で、増員数は前年度の約八倍。そうしたことで貸与基準を満たしながら、無利子奨学金が受けられない学部等学生二万三千人、大学院生三千人の解消を図る。また無利子奨学金の学力基準を成績上位三分の一から五分の二(四〇%)に緩和する。五年計画で実現する計画で一年目は六千五百人を見込んでいる。
 有利子の奨学金枠も八十三万四千人から八万七千人増やして九十二万一千人に拡大する。有利子奨学生に関しては、学生の在学中および卒業後、三%を超える利息については、国が利子補給金を措置する。大学院生の業績優秀者返還免除制度の対象を前年度の九千人(三割)から一万二千人(四割)に拡大する。無利子奨学金の大幅拡大だけで八百九十七億円の要求となっている。これは概算要求基準の「元気な日本復活特別枠」を活用して要望している。加えて返還金の回収強化を図るため、延滞者に対する法的措置の徹底、債権回収業務の民間委託、延滞事由の要因分析、返還相談体制の更なる強化に取り組むことにしている。
 一方、国立大学・私立大学の授業料減免等の充実については、前年度比七十六億円増の三百十二億円を要求している。これも「元気な日本復活特別枠」を活用して要望している。このうち国立大学分は二百五十四億円。
 総額一兆一千九百九億円の国立大学法人運営費交付金要求額の中に授業料免除枠として算定されている。学部・修士課程の学生に関しては前年度の六・三%(免除率)から八・四%に、学生数にして約三・七万人から約四・八万人に拡大する。博士課程の免除率は一二・五%とする。これらの数値は今後三年かけて一二・五%、二五・〇%まで引き上げる方針。
 私立大学等に対しては、経済的に修学が困難な学生に実施している授業料減免等への国の支援を拡充する。予算額は五十八億円。免除率は二十二年度の約一・五%(約三・三万人)から二十三年度には約二・〇%(約四・一万人)に引き上げることにしている。
 加えて私立大学の学生の経済的支援体制の構築に対して新規に七億円を要求している。この事業としては例えば地元地方公共団体と連携した奨学金等担当員の配置、困窮層への重点的な支援を挙げている。
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