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全私学新聞

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記事2010年8月3日 2178号 (1面) 
公財政支出 国私間の根本的格差是正を
全私学連合 文科省等に23年度予算税制要望
学生1人当たり国費負担額
国大187万、私大17万円 耐震化補助拡充急務
 全私学連合(白井克彦代表=早稲田大学総長)は七月二十九日、文部科学省に高井美穂大臣政務官を訪ね、平成二十三年度政府予算と税制改正に対する要望書を提出した。この日は、大学から幼稚園までの私学団体会長らが出席、私学関係予算の拡充などを要請した。全私学連合の要請には、民主党の吉田おさむ副幹事長も同席した。

 平成二十三年度私立学校関係政府予算に対する要望書は、@私立大学関係A私立高等学校等関係B私立幼稚園関係C日本私立学校振興・共済事業団関係D財団法人私学研修福祉会の研修事業関係に分かれている。
 このうち私立大学関係では、私立大学への公財政支出拡充が我が国の持続的成長に不可欠などとした上で、私立大学経営の健全な発展のためには、私立大学と国立大学に対する公財政支出の根本的な格差是正が急務だとしている。学生一人当たりの国費負担額は、国立大学が約百八十七万円なのに対して、私立大学は約十七万円と十一倍もの格差が生じている。私立大学にも国立大学と同水準の補助を実現するために私大等補助は、私立大学の学生数が国立大学の約三倍ということもあり、現行の三千二百二十二億円から約六千億円の増額が必要としている。また学生の修学上の経済的負担軽減のためには、高等教育に対する公財政支出を国際水準(OECD平均はGDPの一%、現行は〇・五%)に引き上げることや、給付型奨学金の創設などを求めている。このほか私立大学等の環境問題に対する取り組みへの支援などを要請している。
 私立高校等に関しては、私立学校がより良い教育を行うため、授業料を改訂すること〈引き上げること〉は、公立学校の授業料が無償化された中では甚だ難しいとして一層の公的支援を要請している。また学校施設の耐震化については、将来を担う国民の命を守る最優先事業のため、国公私立や学校種の別なく、その最終責任は国が負うべきだとしている。そのほかIT教育設備の充実、防災機能強化、環境に配慮した施設づくりのための改修・改築への支援強化も求めている。
 さらに財団法人日本私学教育研究所補助金の拡充・強化を要望。
 高校就学支援金に関しては、都道府県間の格差の是正、私立小中学生への適用拡大、手続きの簡素化等を要望している。
 私立幼稚園に関しては、幼児教育の基盤整備・強化は国や地域社会の永続的発展の重要要素の一つとして、私立高等学校等経常費助成費補助制度(幼稚園分)の拡充、また就園奨励費補助金については、同制度の対象世帯の最大層を占める第四階層の保護者(対象園児約六十万人)への補助金が今年度は減額されたため、平成二十一年度当初予算並みの回復を要請している。私立幼稚園施設整備費補助金に関しては、幼い園児の命を守るため、同補助金の充実、とりわけ耐震化への支援の充実を求めている。
 このほか私学事業団に関しては、耐震化を伴う改築事業を促進するため、「私立学校施設高度化推進事業費補助」(利子助成)の継続拡充などを、私学研修福祉会の行う研修事業に関しては、安定的な財政基盤の強化・支援(財源確保)を要望している。
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