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記事2010年7月3日 175号 (1面) 
教員免許更新制見直しなど議論
教員の資質能力向上特別部会が初会合
年内には意見集約 教員養成の「開放制」等焦点に
 教員免許更新制の検証とその在り方等を検討する中央教育審議会の「教員の資質能力向上特別部会」の初会合が六月二十九日、文部科学省内で開かれた。部会長には田村哲夫・渋谷教育学園理事長が選任された。文部科学省は年内にも中教審から答申を受け、来年の通常国会に教育職員免許法改正案等を提出する方針。同部会の中で鈴木寛副大臣は、「諮問事項は制度に関する改革案だが、教育の文化、教師を支える文化を変えることが必要。あらゆる現場で、よりよい教育とは何か、多様で膨大なコミュニケーションをしていくことが重要」と語った。

 この日は初回ということで、委員一人ひとりが自由に意見を発表した。
 川端達夫文部科学大臣が六月三日に諮問した事項は、「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について」。具体的には、教員養成のための大学の教職課程期間や内容等の充実、教職大学院の在り方の検討、教職課程認定の厳格化、教員免許制度の見直し、現職研修の充実、教員免許制度の見直しなどを審議する。
 また「教育委員会や大学をはじめとする関係機関や地域社会との組織的・継続的な連携・協働のしくみづくり」の検討も予定されているが、教育委員会教育長からは、「教員に本当に求められる資質や専門性とは何か、大学に教育力があるのか」との意見や、また別の教育長からは「学生にはできるだけ多くの体験が必要。大学の力は借りない。小中学校には大学を変える力がある」、との意見が聞かれるなど、教員養成をめぐる大学と教育委員会との不協和音を感じさせる発言が早くも複数の委員から飛び出した。その大学における教員養成については、個別の大学の利害にがんじがらめになっている、と批判する大学関係者も見られた。

固定観念の変革求める意見も

 教員になる道を教育学部に限定せず、一般の学部にも認めている教員養成の「開放制」がどうなるのかも焦点の一つだ。
 開放制を狭めて教員養成を認める学部数を絞り込むべきだとの意見が出される一方、「開放制には大賛成。色んなところから多様な人材が入ってきてチーム力を高めていくことを考えるべきだ」との意見も聞かれた。
 そのほか、「教員養成の六年制化は実態とかけ離れている。長いスパンで深い議論を期待したい」「学習者主体の教育へ転換が必要」「社会の教育に対する考えが改まるようにしてほしい。教育実習が長くなれば学校現場の負担が大きくなる」「大学卒業後、教員採用試験に合格した者だけを修士課程に進ませ、その後学校現場に行くようにしたらいい」「〈教員のコミュニケーション能力不足がいわれるが〉そもそも教員は名刺を持っていない。それを変えるだけで変わることがある。教員一人に一台パソコンが配置されていない。社会では考えにくい。固定観念を変えていく議論をしてほしい」「研究者、研究機関が教員を養成している。研究者には現場体験をしてほしい」「半年間の議論でいいものができるのか」などの意見が聞かれた。
 中教審以外にも国民や教育関係者から広く意見募集を行っており、意見は出尽くした感がある。それをどう整理するかがポイントといえる。
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