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記事2010年7月23日 2177号 (2面) 
観光教育に関する学長学部長等会議
9大学が観光教育の実践事例等報告
関係団体、 政府も大きな期待寄せる
立教大学主催・観光庁共催
立教大学は、「二〇一〇年度観光教育に関する学長・学部長等会議」を、このほど、同大学池袋キャンパスで開催し、国公私立四十大学、観光関連団体、文部科学省、経済産業省等が参加した。共催は観光庁。この会議は、観光教育を担う関係者間の情報交換、意見交換、連携強化のために開かれているもので、今回は、九大学の観光教育プログラムの事例が紹介されたほか、観光関係団体から意見が述べられた。
 冒頭あいさつした白石典義・立教大学統括副総長は、観光分野は夢のある分野であり若い人たちから大きな期待が寄せられている分野だ、観光を日本の中心産業に築き上げていただきたい、などと述べた。また、観光庁の甲斐正彰審議官は、観光業は日本の経済成長戦略の柱の一つとして期待されており、教育機関の役割が極めて重要だ、などと述べた。プログラム事例を発表した各大学とその内容の概略は以下の通りだった。
 立教大学観光教育学部の場合は、早期体験プログラムとして、一年生の早い段階に観光の現場を体験してもらおうと海外に連れて行く、二〇一〇年度は台湾やドイツなど十一コースが予定されている。学生には人気の高いプログラムとなっている、などと報告された。
 長野大学環境ツーリズム学部は、一年から四年までゼミが必修となっておりそのゼミのなかでフィールドワークや地域調査が行われている。また地域から学び、地域にその研究成果を還元する取り組みを行っている、などと報告した。
 平安女学院大学国際観光学部は、京都の歴史と文化遺産を生かした観光教育を行っているとして、入門教育、京都観光資源の理解、観光調査、実地研修、地域づくり、祭りづくりへの参加などをしているなどと報告した。
 琉球大学観光産業科学部では、沖縄県の観光業界の要望からマネジメント系のカリキュラムを置き、ツーリズム教育は持続可能型観光の基礎的知識を修得、専門科目の三分の一は英語での授業を目指している、実践的かつ応用的な教育をしている、などと報告した。
 首都大学東京都市環境科学研究科観光科学域では、エコトッププログラムの中で自然科学・社会科学・人文科学の単位をまんべんなくとらせ、インターンシップも実施、観光を底辺から支える、観光にサイエンティフィックな裏付けを与える観光科学を推進している、などと報告した。
 帝京平成大学現代ライフ学部レジャービジネス学科では、一年生をいきなりプロ野球・千葉ロッテマリーンズ、Jリーグ・ジェフユナイテッド市原へ放り込むというプログラムで、観戦ツアーの企画、スタジアム内外イベント企画、コラボグッズ企画、プロモーションなどをグループワークで行うなどと報告した。
 阪南大学国際観光学部では実践型教育として、企業または地域と向き合い、課題を発見し、解決方策を考え、実践して解決するというキャリア・ゼミを行っており、その一つ、「世界中のバックパッカーを誘致せよ!」というプロジェクトが注目されているなどと報告した。
 山口大学経済学部観光政策学科は、二年生必修の「プロジェクト演習T」でホテルの業務経験や広島の観光客調査などの学外実習を実施しており、昨年の「プロジェクト演習U」(三・四年生選択)ではセントラル・フロリダ大学と協定を結び「シーワールドの経営戦略」等をテーマにレポート作成を行った、と報告した。
 流通科学大学サービス産業学部観光生活文化事業学科では、観光産業界からのニーズに応えきれていないのではないかとの反省から、今年から、近畿運輸局、大阪のリーガロイヤルホテル、東京のJTB法人東京の協力で、旅行業・ホテル業・観光街づくりのプログラムを提供していく予定だ、などと報告した。
 観光関係団体からの意見として、舩山龍二・日本ツーリズム産業団体連合会長は、大学に寄付講座を提供し、そこで最先端の技術・現在の問題について話している、働きがいについて伝えることも大事、課題は観光産業界が観光学部の卒業生を積極的に採用することだ、などと述べた。奥山隆哉・日本旅行業協会事務局長は、観光は今後極めて重要な産業となる、期待しているのはソリューション、コンセプチュアルワーク、需要を作れる、お客様目線で新しい発想を作っていくことだ、などと話した。
 最明仁・東日本旅客鉄道株式会社経営企画部次長は、大学院教育の中で観光や観光を通じた地域の活性化について勉強してもらっている、学部教育のみなさんにも知恵をいただきたい、と話した。


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