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記事2010年6月23日 2174号 (1面) 
「新成長戦略」を閣議決定
民間人の活用含め教育支援体制を強化
「キャリア段位」制度導入
 政府は六月十八日、「元気な日本」復活のシナリオ―と位置づける「新成長戦略」を閣議決定した。バブル崩壊以降のいわゆる失われた約二十年間の、我が国経済の低迷や閉塞感を、公共事業中心の経済政策や行き過ぎた市場原理主義で、ではなく、新たな需要や雇用創出を通じ打破し成長につなげていこうとする政策で、「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」の一体的実現に主眼を置いたのが特徴。具体的には「アジア経済戦略」、「雇用・人材戦略」など七つの戦略、工程表等を掲げている。

 このうち成長を支えるプラットフォームの一つだとした「科学・技術・情報通信立国戦略」では、独自の分野で世界トップに立つ大学・研究機関の数の増加、理工系博士課程修了者の完全雇用の達成を掲げており、工程表では国際競争力のある科学・技術・イノベーションシステムの構築のため、二〇一〇年度に「国立研究開発機関(仮称)」制度創設の検討や「第二次大学院教育振興施策要綱(仮称)」の作成を、また二〇一一年度には「リーディング大学院」の構築などを通じて、二〇二〇年までに特定分野で世界トップ五〇に入る研究・教育拠点を百以上作ること、優れた外国人研究者受け入れ数を三倍増にすることなどの成果目標を掲げている。また一貫して理数教育の強化と理系進学の促進、産学官の連携による理系大学生・大学院生・博士課程修了者育成と就職支援を実施していく方針。またIT分野では二〇一〇年度に「教育の情報化ビジョン(仮称)」を策定、同時にモデル事業等による実証研究、教科書の電子書籍化等について制度改正を含め検討・推進を行い、二〇一三年度には児童生徒一人一台の情報端末による教育の本格展開の検討・推進を進め、二〇二〇年までに二十一世紀にふさわしい学校教育を実現する。
 「雇用・人材戦略」では、二〇二〇年までに大学のインターンシップ実施率一〇〇%、大学への社会人受け入れ数九万人、専修学校での社会人受け入れ数十五万人などを目指す。また幼保一体化の推進、初等・中等教育では教員の資質向上、民間人の活用を含めた地域での教育支援体制の強化等を目指し、加えて課題発見・解決能力や論理的思考力の育成、外国語教育の充実、教員の養成・採用・研修の抜本的見直し、評価の実施など、教育内容の充実、教員の教育力の向上、学校運営の改善、民間教育サービスの発展等でOECDの学習到達度調査等で世界トップクラスの順位を獲得する方針。高等教育では、奨学金制度の充実、大学の質の保証や国際化などを進めていく。具体的には二〇一〇年度以降に実践キャリア・アップ戦略を推進し、二〇一一年度以降は職業能力を客観的に評価する「キャリア段位」制度の導入(「日本版NVQ」の創設)、二〇一一年度から大学・専門学校等の教育システムとの連携を進める。
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