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記事2010年6月13日 2173号 (2面) 
就学前教育と保育に 公的支出増加を
子ども手当は再検討必要日本政府に提言
 経済協力開発機構(OECD)のバーバラ・イッシンガー教育局長は六月十日、都内で記者会見を行い、日本政府に対し、就学前教育と保育に対する公的支出の増加を促すとともに、子ども手当について、その目的と対象を再検討すべきであるとの考えを述べた。
 OECD調査によると、日本の五歳児に対する保育・幼児教育サービスへの公的支出は、平均的な勤労世帯所得の七%に過ぎないのに対し、フランス、フィンランドでは三〇%を超えている。わが国では、幼児教育にかかるコストの半額以上は家計に頼っており、これは、OECD加盟国中でもっとも高い負担率となっている。
 イッシンガー局長は、こうした現状を指摘し、子ども手当について「同じお金をかけるなら、保育や幼児教育サービスに投資した方がより良いのではないか」と述べ、予算に限りがある以上、現金給付とサービスへの投資とのバランスを考えることが必要との考えを示した。また、OECDが提言している幼保一元化については「予算を最小限に抑えつつ、質を確保し、幼保が一元化されたサービスを家計で負担できる料金の範囲で提供することが重要」と指摘している。
 OECD加盟国での幼児教育・保育サービスをみると、多くの国では主に公立の機関が提供。日本をはじめ、オーストリア、アイルランド、オランダ、ニュージーランド、イギリスでは、私立の機関が主にサービスを提供しているが、日本を除く各国では、五歳児教育が義務教育であるか、公的予算で大部分が負担されているという。
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