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記事2010年6月13日 2173号 (1面) 
全国学力調査再検討で専門家会議初会合
対象教科や実務方法など検討
別途アンケート、意見聴取も
 平成二十三年度以降の全国学力調査の在り方等を検討する専門家会議の初会合が六月十日、文部科学省内で開かれ、改めて全国的な学力調査について、
@目的
A対象教科や学年、実施時期
B実施方式(抽出・悉皆・希望利用方式、抽出率)
C実施頻度(毎年実施するか隔年または数年に一度か)
D教育課程実施状況調査との関係整理等に関して検討に着手した。委員は十八人。初会合で座長に梶田叡一・環太平洋大学長が、座長代理には荒井克弘・独立行政法人大学入試センター入学者選抜研究機構長が就任した。私立小中学校からは清水哲夫・〓(※)友学園常務理事が参加している。

 全国学力・学習状況調査は平成十九年度から開始され、今年度で四年目。過去三年間は悉皆調査だったが、今年度は全国の小学校(第六学年)、中学校(第三学年)等に関して抽出率三〇%で実施、そのほか希望校には試験問題、解答を提供する希望利用方式が採用された。事業仕分けで見直しを求められたことなどを考慮したためだ。全国の抽出率三〇%という数値は、都道府県ごとに平均正答率が九五%の確率で誤差一%以内になるよう設定されたものだが、抽出校とならなかった国公立学校では半数前後の小・中学校が希望利用方式で参加(全体のデータには反映しない)。その結果、抽出校、希望利用校を合わせると国公立小・中学校の参加率は八〇%前後となった。県内の全公立小・中学校が抽出あるいは希望利用で参加した県も十三に上った。
 平成二十三年度以降について改めて再検討することは、平成二十二年度予算編成の段階から予定されており、今回の専門家会議の検討等を通じて、今年夏の平成二十三年度概算要求提出までに財政状況などを考慮して一定の方向性を打ち出す予定だ。今年夏にまとめられる文部科学省の平成二十三年度概算要求では二十三年度調査の実施経費・人員体制経費に加えて、二十四年度調査の準備経費・実施経費も前取りすることにしている。
 平成二十三年度以降の全国的な学力調査の在り方等については、文部科学省はすでに五月に全都道府県・市町村教育委員会等を対象にアンケートを実施、調査すべき対象教科、実施時期、希望利用方式を希望した理由、希望利用した学校の採点・集計費用、課題等を調査中で、七月中には調査結果を報告することにしている。
 これとは別に、各種学校関係団体、保護者団体、経済団体、教職員団体、教育委員会関係団体から意見聴取することにしており、私学関係では日本私立小学校連合会、日本私立中学高等学校連合会、日本私立大学連盟、日本私立大学振興協会、日本私立高等専門学校協会から意見を聴く予定。
 この日の自由討議では、「抽出調査でいい」とする意見がある一方、調査結果は個別の学校や個々の生徒の指導の充実改善につなげられるとして、「悉皆調査で数年ごとに実施すればいい」とする意見も聞かれた。また「希望利用校のために分析ツールの改善充実を図ってほしい」「対象教科を理科、社会、英語にまで広げてほしい。そうした調査の問題から新学習指導要領の『活用』への対応が進んでいく」などの意見が聞かれた。
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