こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2010年5月3日号二ュース >> VIEW

記事2010年5月3日 2170号 (2面) 
公表義務化の大学情報等を審議
質保証システム部会の「報告」受け
大学分科会

 中央教育審議会大学分科会(分科会長=安西祐一郎・慶應義塾学事顧問)は四月二十八日、文部科学省内で会議を開き、質保証システム部会から、大学等の教育情報の公表に関する審議内容について報告を受けた。
 質保証システム部会では、主に、法令で公表を義務付けるべき情報と、努力義務を定める情報について審議してきた。対象となるのは、大学、短期大学、高等専門学校。公表義務付けに伴う学校教育法施行規則等の改正案については、すでにパブリックコメントにもかけられている。
 文部科学省は、この日の大学分科会での審議とパブリックコメントの結果を踏まえて、五月下旬に開かれる次回の大学分科会に法令改正について諮問する予定。改正されれば、来年四月一日に施行される予定だ。
 法令上公開の義務付けが検討されているのは@学部、学科など基本となる組織に関する情報A教員に関する情報B学生に関する情報C教育課程に関する情報D学修成果の評価、卒業認定に関する情報Eキャンパス概要など学習環境に関する情報F学生納付金に関する情報G学生支援と奨学金に関する情報―の八項目。
 義務付けはしないものの、努力義務化が検討されているのは@学部・学科・課程、研究科・専攻ごとの教育研究上の目的A教育課程を通じて修得が期待される知識・能力の体系B学修の成果に係る評価や卒業の認定に当たっての基準。このうち、@、Bについては、すでに大学設置基準等で規定されており、実際には義務付けの方向。
 A教育課程を通じて修得が期待される知識・能力の体系―については、分科会委員から「大学が社会の公器である以上、公表が必要」「義務化すべきではないか」という意見が出た。
 この点については、質保証システム部会の審議の中で「知識・能力の体系」は幅広い概念を含むため、義務化することでかえって内容が形骸化する恐れが指摘され、むしろ各大学の自主的・自律的な判断に委ねるほうが望ましいとされた経緯がある。同部会の黒田壽二部会長は「努力義務とはいえ、公表しなければ社会に認めてもらえない。強制しなくても社会が見極めることに期待したい」と述べた。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞